JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞者の声

建設分野の新技術への挑戦

第15回国土技術開発賞

優秀賞 降雨流出氾濫モデル(RRIモデル) 技術開発者 佐山敬洋 受賞コメント

第15回国土技術開発賞 優秀賞 降雨流出氾濫モデル(RRIモデル)
技術開発者 (独)土木研究所 佐山 敬洋

受賞にあたって

 このたび私どもが開発してきた降雨流出氾濫モデル(RRIモデル)が、栄誉ある国土技術開発賞(優秀賞)に選ばれました。関係者の皆様に心よりお礼申し上げます。

 RRIモデルは、降雨情報を入力として、河川流量から洪水氾濫までを流域一体で予測するモデルです。これまでの洪水予測モデルは、山地流域から降雨流出を予測することに主眼があり、氾濫の影響を考慮したり、氾濫そのものを予測したりすることはできませんでした。一方で、既往の氾濫モデルの多くは、破堤地点からの流量を入力して氾濫水の流れを詳細に解析するモデルが主流であり、降雨情報から流域全体の流出や氾濫を迅速に予測するうえでは必ずしも適さないことがありました。大規模洪水を対象にした洪水予測を実現するためには、降雨流出と洪水氾濫とを一体的に取り扱うべきというのが本技術の発想の原点です。

 同モデルの開発に際しては、職場の上司・同僚はもとより、JICAのタイ・チャオプラヤ川流域洪水対策プロジェクトの関係者の皆様、関連学会の諸先生方に貴重なご意見をいただきました。ここに記してお礼申し上げます。

受賞後の動き

 途上国の洪水予測に適するように開発を進めてきたモデルですが、洪水リスク評価や気候変動による影響評価など、国内の流域においてもRRIモデルの考え方が適する場面があると考えています。取り組む課題に応じて改良をしながら、本技術の応用研究を進めていきたいと思っています。