JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞者の声

建設分野の新技術への挑戦

第10回国土技術開発賞

最優秀賞 太径曲線パイプルーフ工法 技術開発者 林 昇 受賞コメント

第10回国土技術開発賞 最優秀賞 太径曲線パイプルーフ工法
技術開発者 林 昇

受賞にあたって

最優秀賞をいただき、本当にありがとうございます。

太径曲線パイプルーフ工法の開発と富ヶ谷トンネルの実工事での具体的な工法の計画、詳細設計、施工の取りまとめを行ってきました。開発に当たって最も苦労したことは、掘進制御と計測方法でした。最初の実証実験では、地山内でR=16mの曲率半径を持つ掘進機に中折れ機構を持たせ、揺動により制御が可能なことを確認しましたが、難問は計測方法でした。掘進機の位置を正確に測定する計測方法として取り上げたジャイロ方式、水レベル+レーザー方式等種々試しましたが、掘進機位置の再現性や到達精度の確保が困難でした。思考錯誤の上、従来のトランシッドの改良・改善や鋼管内での湿気体策、目に見えない鋼管内での水平保持などを工夫しました。こうして、自動視準式光波測定器(GDM=ジオジメーター)の連成による計測誤差±5mmと高い精度の縦断急曲線計測システム(ATS=Auto Target System)を生み出し、セグメントのぎりぎりのスペースに到達させる技術を確立しました。

実施工では、曲線パイプルーフ76本を併設したシールド鋼殻主桁間から発進させ、約20m離れのシールド鋼殻の主桁間に到達させましたが、到達精度の管理値上下左右±80mmで全て成功しました。

我々土木の世界では、多くの基礎技術の組合せと、同業・異業種間との連携により、「成せば成る」ことを確証しました。この太径曲線パイプルーフ工法を開発し、施工実績ができたことは大変喜ばしく、更に適用の拡大を図っていく所存です。

受賞後の動き

現在、首都高速道路中央環状品川線北行きシールド工事で五反田出入口工事を担当しています。山手通りの交差点処理、多くの地下埋設管処理が難しい箇所を直線パイプルーフによる非開削工法で施工するもので、現在、実施設計・施工計画をしていします。今後は、施工条件、土質条件、施工環境など種々の条件に対応できる直線・曲線パイプルーフ関連の技術を更に開発、確立させることで同分野の技術の発展に寄与する所存です。

ありがとうございました。