JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞者の声

建設分野の新技術への挑戦

第11回国土技術開発賞

最優秀賞 鹿島カットアンドダウン工法

第11回国土技術開発賞 最優秀賞 鹿島カットアンドダウン工法
技術開発者 鹿島建設(株) 大塚 繁

受賞にあたって

この度は、最優秀賞を賜り、誠に光栄に存じます。本技術の開発と実用化に際して、ひとかたならぬご指導、ご支援をいただきました多くの皆様に心より御礼申し上げます。

開発した技術には、これまで蓄積してきた建築技術、施工技術の様々なノウハウが盛り込まれています。解体施工中の耐震性能を確保するためのコアウォールは、鉄筋コンクリート造超高層集合住宅の開発で培ったスーパーウォールの機能に共通する概念です。またジャッキの作動に関する制御技術やモニタリング技術については、ジャンボジェット格納庫や大スパンドーム大屋根のリフトアップの施工管理技術を発展させたものです。

更に1996年に開発したAMURAD工法(AutoMatic Up-Rising construction by ADvanced technique)との密接な関係があげられます。この工法は、建物を最上階から一層ずつ完成させてはジャッキで押し上げ、その下に新たな階を継ぎ足しては、これを繰り返して建物を構築する全自動建築生産システムです。当時の開発担当者が今回の開発メンバーとしても参画しており、経験と技術のDNAが継承されたものと思っています。

本賞受賞は、まさに関係者全員の努力と知恵の結集の賜物と思っております。どうもありがとうございました。

受賞後の動き

オフィスオートメーション化が進み、古いオフィスはその機能を満足することが出来ず資産価値も低下し、残念ながら建替えざるを得ない建物がでてきている中で、高さ60mを超える建物の解体需要も少しずつ出ているようです。

開発した工法は、環境側面から高い評価を得ており、各方面から多くの問い合わせを戴いています。当面は、鉄骨造20階建て程度への適用を目標としていますが、技術的にはあらゆる建物にも適用可能と考えております。今後は更に合理的な解体工法となるよう研鑽を重ね、あらゆるニーズに応えられる技術に育てていきたいと思っています。