JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞者の声

建設分野の新技術への挑戦

第16回国土技術開発賞

最優秀賞 浮体式仮締切工法 技術開発者 滝口紀夫 受賞コメント

第16回国土技術開発賞 最優秀賞 浮体式仮締切工法
技術開発者 鹿島建設(株) 滝口 紀夫

受賞にあたって

このたびは、国土技術開発賞・最優秀賞という名誉ある賞を賜り、技術開発者の一人として感無量の思いです。これも本技術の開発に際し、多くの皆様の御指導・御支援・御協力の賜物と心より御礼申し上げますとともに、本技術の採用を英断された九州地方整備局川内川河川事務所の皆様に深謝いたします。

浮体式仮締切は、平成23年2月に鶴田ダム施設改造工事を入手したことを契機に開発がスタートしました。最大水深65mという国内最大級の大深度で台座コンクリートを構築することは、過去の事例では発生しない課題が顕在するであろうと推察していましたが、機械・設備にかかる負荷は想定以上のものでした。工程を確保するために、既存する様々な機械・設備を投入しましたが回復はおぼつかず、新たな技術の開発が必須のような状況であり、強い思いで開発に臨みました。

本技術の開発により台座コンクリートが不要となったことは、工程回復に大きく寄与しました。正直、受賞よりも工程が確保できたことに安堵しています。鶴田ダムでの実用化により、品質・コスト・工程・安全・環境すべてにおいて向上性が証明されたことは、堤体に孔を空ける再開発工事の標準工法になりえると固く信じ、さらなるブラッシュアップを進めていきたいと思っていますので、今後とも御指導・御支援を賜りますよう御願い致します。

受賞後の動き

鶴田ダム再開発工事は現在も継続しており、従来工法である台座コンクリート式仮締切は平成27年3月末まで使用しますが、浮体式仮締切は平成25年4月に設置してからの使命を全うし、平成26年4月に撤去され解体される日を待っています。しかし、近年の異常気象からダムの洪水調節能力を強化する必要があることやクリーンエネルギーとして既設ダムに水力発電所を構築するような話が出ていることを考えますと、浮体式仮締切が活躍する日が必ず来ると思っています。また、日本のダム技術の輸出という分野においても一翼を担える工法であると確信しておりますので、皆様の御支援を賜りますよう御願い致します。