JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞者の声

建設分野の新技術への挑戦

第17回国土技術開発賞

入賞 高炉スラグを用いた超耐久性コンクリート 技術開発者 細谷多慶 受賞コメント

第17回国土技術開発賞 入賞 高炉スラグを用いた超耐久性コンクリート
技術開発者 ランデス株式会社  氏名:細谷多慶

受賞にあたって

このたびは、国土技術開発賞 入賞という名誉ある賞をいただき、誠にありがとうございます。本技術の開発においては、多くの皆様のご指導・ご支援を賜ったおかげで大きな成果を上げることができました。関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。特に岡山大学大学院綾野克紀教授におかれましては、開発当初より鼓舞激励のご指導をいただき、心より感謝いたしております。

 本技術は、偶然から生まれた偉大な発見ということができます。全ては、たまたまあったスラグコンクリートの供試体を硫酸溶液の中に入れたことから始まります。並み居る耐硫酸性材料を抑えて、たまたま入れたスラグコンクリートの供試体が一番良い成績を収めたのです。

その後、耐硫酸性だけでなく耐塩害、耐凍害に対しても高炉スラグ細骨材が有効であることがわかり、下水道分野から海洋構造物、道路構造物への広範囲での適用が進んでおります。また、本技術の普及促進を目的とした工業会も設立され、H27.6.9現在で、正会員13社、賛助会員13社、特別会員1社の体制で、顧問1名、学術研究委員会に7名の先生方をお招きし、さらに次のステップへと研究開発を進めております。

これまで高炉スラグは、砂の代替品として長く使用されてきました。しかし、本技術により、塩害、凍害、硫酸、それらの複合劣化に対応するためには、代替品ではなく、高炉スラグでなければならない必須材料となっております。また、鉄を作れば副産物である高炉スラグが生成され、この副産物を適正に処理しなければ鉄が作れないことから、本技術は、静脈の産業としての役割も担っているものと考えます。

受賞後の動き

 コンクリート構造物の設計は、仕様規定型設計から性能照査型設計へと移行しております。プレキャストコンクリート製品の設計手法も、これまでのJISによる仕様規定型設計から性能照査型設計になります。お客様に納めた個々のプレキャストコンクリート製品の品質保証ができるよう日常の品質管理手法を追求し、本技術がますます普及するよう更なる技術開発を進めてまいります。