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調査報告・研究成果 / 国際協力活動

第23回 日・韓建設技術セミナー開催報告

開催経緯

JICEは、日本と韓国の建設技術の交流及び発展を図り、さらには両国の友好と親善に寄与するため、建設技術の調査研究・普及を通じて社会資本整備に貢献するといった共通の目的を持つ韓国建設技術研究院(以下、KICT)と建設技術交流を実施しており、この建設技術交流の一環として1990年から毎年継続して日・韓建設技術セミナーを開催しており、今年で23回目の開催となります。

セミナーの概要

23回目となるセミナーは、去る平成24年9月4日(火)に韓国京畿道高陽市にあるKICT新館1階のカンファレンスルームにて開催されました。JICEからは、大石理事長を団長とする総勢13名が参加しました。

第23回 日・韓建設技術セミナープログラム

<開会式>

開会の挨拶 禹 孝 燮 KICT 院長
祝  辞 大石 久和 JICE 理事長

<特別講演>
「韓国の公共交通の改善事例」
講演者:金 敬 韓国交通研究院 院長

第23回 日・韓建設技術セミナー開催報告

各発表の要旨

T.共通課題発表・討論(技術・調達セッション)
  内    容 発 表 者
発表1 建設監理制度の成果に関する分析と制度の発展のための方策について 朴 煥 杓 KICT 建設管理・経済研究室長
公共建設工事における手抜き工事を防止し、品質を向上すると共に、発注先の人手不足を解消するために、政府は責任監理制度を1994年に導入し、現在、定着化が進んでいる。監理制度が一層発展するためには、監理制度の成果を多様な切り口で分析し、不十分な分野の改善を図らなければならないが、建設監理制度成果に関するこれまで分析は、定性分析が中心であり、定量分析はみられない。
本研究では、建設監理制度の成果に対して定量・定性的な分析を行うことで、監理制度の持続的な発展策を考えると共に、監理業界の海外進出を支援するための方策について発表を行った。
発表2 監督・検査業務における品質確保の取り組み 渡邉 三男 JICE 技術・調達政策グループ 副総括
国土交通省の直轄工事における工事目的物の品質確保については、受発注者間の信頼関係を前提とした工事の段階的、限定的な監督・検査を基本に行われていた。しかしながら、一層の品質に優れた社会資本の調達の必要性の高まり、発注者の役割の変化や業務の増大、監督職員などのインハウスエンジニアの減少等により、これまでの施工管理体制の見直し・体制の強化が必要であるとの提言が、「国土交通省直轄事業の建設生産システムにおける発注者責任懇談会(中間とりまとめ H18.9)」でなされ、具体的な検討を懇談会の下部組織の「設計・施工プロセス専門部会(H21から生産性向上検討部会に組織替え)」で行われた。
本発表では、専門部会において見直しの方向性として「検査の強化」と「受注者の自主施工の原則の徹底」が必要であるとして実施されている「施工プロセスを通じた検査」の試行調査結果、及び施工者と契約した第三者の品質証明員が施工状況、品質・出来形について、品質証明を行う「第三者による品質証明」制度(2012年の下半期から一部の工事において試行導入予定)について発表を行った。
パネル討論 <座長>李 ヘ 善 KICT 建設管理・経済研究室 先任研究委員
朴 炯 根 KICT 建設管理・経済研究室 研究委員
高野 匡裕 JICE 技術・調達政策グループ総括
U.共通課題発表・討論(道路セッション)
  内    容 発 表 者
発表1 韓国における道路交通量モニタリングシステム 林 星 漢 KICT 尖端交通研究室 首席研究員
交通量は交通及び道路分野の計画、設計、維持管理、研究開発のための基礎資料として利用されるものであり、調査方法には24時間 365日全ての資料を収集する「常時調査」と、一年に数回標本調査を行う「随時調査」がある。「常時調査」は道路の主要地点に固定式調査装置を設置し、設置地点における年中の交通量を調べる方式であり、最も理想的な調査方法だが、費用が高いという難点がある。「随時調査」は、基本交通量資料が必要な全区間に対して広範囲に進められる調査で、道路利用に関する全般的な状況を把握するために実施される。常時及び随時調査を通じて収集された資料は分析・統計処理され、利用者に提供される。
本研究では、韓国における道路交通量モニタリングシステムについてまとめ、今後の計画について発表を行った。
発表2 日本における道路交通データの新たな収集方策と活用について 佐藤 浩  JICE 道路政策グループ 総括
道路施策や事業を重点化し、優先順位や効果を客観的な指標で明確に説明していく上では、従来の5年に1度の道路交通実態調査だけでは必要なデータが取得できないことから、抜本的な見直しが求められていた。そこで、車両感知器データからの推計による交通量常時把握、及び民間の会員制カーナビサービスによるプローブ旅行時間データ把握することを基本に、その精度や全国のカバー状況について検証するとともに、取得されたデータの活用方策について検討した。
その結果、推計交通量及びプローブ旅行速度データの両者とも十分な精度を持って常時の全国カバーが可能であることが検証された。また、これらのデータを活用して、従来では不可能とも言える新たな成果指標の導入や事業評価分析が可能となり、極めて有効性が高いことが確認できた。
パネル討論 <座長>姜 元 義 尖端交通研究室 先任研究委員
柳 承 基 KICT 尖端交通研究室 研究委員
野平 勝 JICE 道路政策グループ 上席主任研究員
V.共通課題発表・討論(都市・住宅・地域セッション)
  内    容 発 表 者
発表1 性能基盤の建築耐火設計ツールの開発 呂 寅 煥 KICT 火災安全研究センター 首席研究員
建築物の耐火構造は火災の拡散と構造物の崩壊を防ぐためのものであり、仕様又は性能基盤方法で設計される。最近、韓国技術研究所は、国内で耐火性能設計を実現するため、性能基盤の建築火災安全設計規定の体系を確立する方策と、耐火性能設計プロセスについて提案した。まず、規則-告示-実行コードの規定体系を提示し、海外の耐火性能設計の理論式と資料に基づいて、代案となる耐火性能設計ツールを制作した。この耐火性能設計ツールを用いて、鉄筋コンクリート構造や鋼構造建築物の区画内の単位梁部材を対象に、Moment capacity法や限界温度法に基づいて相対的に簡単に性能設計ができる。今後、単位柱部材の設計も追加する予定であり、究極的には、部材間の接合部や連続梁の解析をはじめ、建築全体の構造システムの解析にも活用できると思われる。そのためには、一般の建築構造解析プログラムとの連動などを考慮して、総合的な研究を進める必要がある。
発表2 都市における安全・安心まちづくり推進方策検討調査 今岡 和也 JICE 都市・住宅・地域政策グループ 総括
日本は、地震、台風、豪雨等の自然災害の発生しやすい国土である。人口・資産が集積した都市では甚大な被害が想定され、都市の脆弱性の低減が必要となっている。近年の局地的な大雨の頻発や地震発生等の状況を踏まえ、日本の都市の将来像の検討の一環として、災害に対する個別対策の充実のみならず、総合的な観点からの「都市の安全・安心」を高める方策の検討を行った。
その結果、災害リスクの情報をまちづくりへ活用するため、人口分布・建物階層等の都市に関する情報と、震災や水害に関する災害リスク情報を一枚の図上に重ね合わせ可視化した「防災まちづくり情報マップ(仮称)」を作成することを提起した。更に当該マップの活用により防災面から見た都市の課題を抽出し、これを元に個別の災害対策の検討や、安全・安心な中長期的な都市の将来像の検討につなげることが有効であることを示した。
パネル討論 <座長>楊 ? 燮 公共建築研究本部長
金 興 烈  KICT 火災安全研究センター長
今岡 和也 JICE 都市・住宅・地域政策グループ 総括
W.共通課題発表・討論(河川セッション)
  内    容 発 表 者
発表1 各地域の潜在的な被害特性を考慮した治水安全度の評価に関する研究 金 智 星 KICT 河川海岸研究室 首席研究員
河川堤防中心(線的な考え方)の洪水防御を見直すことで、韓国の治水計画の限界を分析すると共に、その限界を克服するための「選択的な洪水防御」という考え方を確立することにもつながる。選択的な洪水防御とは、洪水で被害を受ける可能性のある各地域に対して、各地域の重要度(経済的、社会的など)に応じて最適化された水準の洪水防御を行うことをいう。そのため、まず、治水単位区域の設定基準を作成し、潜在的な洪水被害状況が反映された評価方法を構築して、洛東川上流区間にこの方法を適用した。各治水単位区域で算出された重要度を用いて目標治水安全度(目標洪水防御頻度)を設定し、現在の治水安全度(現在の洪水防御頻度)とこれを比較することで、治水安全率を求めた。その結果、堤防中心の河川整備(改修率)100%の対象区間で流域平均72%の治水安全率が算定され、都心や工業団地地域の治水安全率が不十分であることが分かった。
本研究では、河川氾濫により被害を受ける可能性のある各地域に対して、その各地域の潜在的な被害特性を反映した治水安全度を評価するための手法について発表を行った。
発表2 浸水リスク分析に基づく浸水対策に関する研究 柳澤  修  JICE河川政策グループ首席研究員
本研究では、我が国の治水事業実施方策の一つである総合治水対策に取り組んできた都市河川を対象とし、河川・下水道・氾濫原を一体として捉え、気候変化の影響により増大する豪雨によって引き起こされる浸水リスクについてリスクカーブの変曲点等に着目して分析し、浸水・被害特性を踏まえた被害軽減対策の考え方について検討した結果について発表を行った。
パネル討論 <座長>尹 光 錫 KICT 河川海岸研究室長
金 圭 浩 KICT 河川海岸研究室 研究委員
横山 晴生 JICE 河川政策グループ 総括

セミナー中はもとより、セミナー終了後もセッションごとの担当者との活発な意見交換が行われ、盛況のうちに第23回セミナーを終わらせることが出来ました。 第23回セミナーの開催準備等にご尽力いただいた皆様に感謝申し上げます。

第24回 日・韓建設技術セミナー開催報告