JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第8回国土技術開発賞

入賞(選考委員会委員長表彰)

多様な主体とのパートナーシップ構築によるアマモ場再生手法 (第8回国土技術開発賞 入賞)

応募技術名称多様な主体とのパートナーシップ構築によるアマモ場再生手法
副題みんなで海のゆりかごづくり
応募者名東洋建設(株)
技術開発者東洋建設(株) 稲田 勉
共同開発者金沢八景〜東京湾アマモ場再生会議
福岡市港湾局

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 国民の価値観が多様化するなか、求める環境の質や水準、その実現手法は各主体により相当な幅を有している。国土再生のための建設事業を進める上で必要となる、国民との適切な意志疎通を円滑にするためには、市民・住民・NPO・民間企業等の多様な主体とのパートナーシップの構築が不可欠である。また、全国津々浦々の海辺には、アマモ場がいたるところに存在し、海の生き物達が生育する「海のゆりかご」となっていたが、高度経済成長に伴う人口集積と工場建設等により汚濁と埋立が進行し、アマモ場はそのほとんどが消滅してしまった。多様な主体とのパートナーシップを構築し、協働作業によって消滅してしまったアマモ場を再生し、豊かな海を取り戻すともに、海辺のまち起こし事業に結びつけたいとの要望が、国民から聞かれるようになった。

2.技術の内容

 「海のゆりかご」と言われているアマモ場の再生事業を切り口に、市民・NPO・民間企業等の多様な主体と行政が一体となって、それぞれの役割を認識しながら、企画段階から、実施段階、維持管理段階に到るまで、地域のニーズに根付いた事業を推進する手法を開発した。
本手法は、自然環境との共生に配慮していることは勿論のこと、海域再生事業の推進をはじめ、国土再生事業の円滑な推進にも貢献できる技術である。

3.技術の効果

 

1.アマモ場再生事業を推進する母胎が誕生:今回の市民参加型アマモ場再生イベントを通して、市民・住民・NPO・民間企業事業者等の多様な主体の母胎ができあがった。この母胎は、地域のニーズを反映させる協働体であり、今後、アマモ場再生事業を推進していく核となるものである。
2.アマモ場再生によって期待される効果:海洋生物増大、海域浄化、底質の安定化や覆砂効果の維持、地球温暖化防止に寄与するものと期待される。
3.間接的効果:多様な主体とのパートナーシップ構築によって、海辺のまちづくりの母胎ができたことにより、海域再生事業の推進をはじめ、国土再生事業の円滑な推進に貢献できる。また、本技術は、多様な主体とのパートナーシップ構築によるアマモ場再生手法であるが、アマモ場再生に限定されるものではなく、森、川における再生事業を推進する際にも活用できるものである。

【 福岡市港湾局の事例 】

【 みんなでアマモ再生観察会 (アマモシート敷設後4ケ月経過時点) 】

4.技術の適用範囲等

アマモ場の生育可能な浅場(海岸、港湾、漁港等)であれば、適用可能である。主な条件は、3E/m2/day以上の光量発芽時2〜3cm/day以下、成体時10cm/day以下の砂面変動、28℃(月平均)以下の水温、砂もしくは砂泥の海域である。

5.技術の適用実績

国及び特殊法人:2件、地方公共団体:3件、民間:1件、NPO法人等:2件の計8件