JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第8回国土技術開発賞

入賞(選考委員会委員長表彰)

高真空N&H(re-Newal & High-quality)工法 (第8回国土技術開発賞 入賞)

応募技術名称高真空N&H(re-Newal & High-quality)工法
副題気水分離方式真空圧密工法
応募者名清水建設(株) ※
(株)間組
(株)鴻池組
丸山工業(株)
技術開発者清水建設(株) 横山勝彦
        久保正顕
(株)間組   三反畑 勇
        木村 誠
(株)鴻池組  神田勇二
        加藤 満
丸山工業(株) 中熊和義
        市川尋士
大豊建設(株) 土田 旦
        小林昭仁
青山機工(株) 諏訪薗篤信
        内野雪子
共同開発者大豊建設(株)
青山機工(株)

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 1949年頃スウェーデンで載荷盛土に代わるプレローディング工法として考案された真空圧密工法は、当初、真空圧の安定維持が困難、漏気による真空圧のロスなどの問題で、実用化されず休眠工法となっていた地盤改良技術であった。近年、気密性の高いシートや真空圧状態でも良好な透水性を保つドレーン材の開発などにより、真空圧密工法の実用化が図られ、多くの施工実績を有するようになった。しかし、沈下量の増加に伴って、真空駆動装置による排水の揚程が大きくなって減圧にロスが生じ、真空圧が低下する傾向がみられたことから、高真空の安定維持に向け、さらなる改善が求められていた。

2.技術の内容

 従来の真空圧密工法において課題となっていた減圧ロスの発生を解決するため、気水分離方式の採用を考案し実用化した。すなわち、気密シート下の改良域に気水分離タンクを埋設し、鉛直ドレーン、水平ドレーン、有孔集水管を介して集水される水を、気水分離タンク内に集め、水中ポンプを用いて排水するものである。その結果、真空駆動装置は専ら気密シート下に真空圧を作用させる役割に徹することができ、真空圧の作用は改良域の沈下が進行しても気密シート下の真空圧の低下はほとんど生じないため、最大95kN/m2程度の高真空圧を安定的に維持できるようになった。

3.技術の効果

 気水分離方式を採用した結果、目標真空圧の平均75kN/m2の安定維持が可能となり、従来型では真空駆動装置1台当たり標準改良面積が2,000m2であったものが、3,000m2まで改良可能となった。その結果、試算(改良深度15m、改良面積6,000m2程度の工事規模)によると、気水分離方式を用いない従来型の真空圧密工法と比べ、直接工事費の比率で改良目標の10%コストダウンが達成された。盛土併用時においても、盛土基礎地盤内で発生する過剰間隙水圧について、高真空N&H工法は、過剰間隙水圧の上昇量が小さく、その消散も大幅に早いことが確認された。

4.技術の適用範囲等

・軟弱地盤上での高盛土の急速盛り立て
・掘り込み式調整池などの掘削土量削減、容量確保
・河川改修工事などの掘削のり面安定対策
・浚渫土、軟弱掘削土などの土性改善による発生土対策

5.技術の適用実績

県営湛水防除事業入沼地区調整池造成工事、平成14年10月〜平成16年6月 他37件