JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第9回国土技術開発賞

入賞(国土交通大臣表彰)

ボンテラン工法 (第9回国土技術開発賞 入賞)

応募技術名称ボンテラン工法
副題高含水比建設汚泥等リサイクル工法
応募者名(株)森環境技術研究所/東北大学大学院環境科学研究科 高橋 弘
技術開発者〔(株)森環境技術研究所〕森 雅人

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 建設汚泥や浚渫土砂、浄水発生土などの高含水比泥土は再資源化が望まれているが、これらは一般に含水比が高いため直接利用が困難であり、有効利用のための再資源化処理が必要となっている。しかしながら、これまで利用用途に応じた品質の確保を可能とする再生利用技術の開発が遅れていた。建設汚泥のリサイクル率は低く、大部分は産業廃棄物である「汚泥」として中間処理施設で脱水処理を施すか、あるいは直接最終処分場へ持ち込まれている。処分場の不足・遠隔化は深刻な問題であり、輸送コストの負担から建設汚泥等の不法投棄が後を絶たず、環境への汚濁負荷が大きな問題となっており、有効利用が望まれているのが現状である。本工法はこれらの問題を解決するために開発した。

2.技術の内容

 建設汚泥や浚渫土砂(ヘドロ等)にボンファイバー(古紙破砕物)とセメント系固化材を添加・混合することにより、優れた強度特性、高い耐久性を有する盛土・埋戻し材に改良する工法である。

 また、建設汚泥(非自硬性汚泥)や浄水発生土にボンファイバー(古紙破砕物)、水溶性ポリマー及び助剤を添加・混合することにより、保水性・軽量性・通気性・保肥力の高い緑化基盤材に改良する工法である。

【工事名】 大分市役所本庁舎屋上緑化工事  屋上緑化コンペに採用
 (点線内がボンテラン軽量土壌による施工箇所)

3.技術の効果

 本工法は高含水比建設汚泥等を繊維質物質であるボンファイバー(古紙破砕物)・水溶性ポリマーを混合することにより、改良直後に運搬可能な状態とする高含水比建設汚泥等リサイクル工法である。改良土は以下の性能を有する盛土・埋戻し材、緑化基盤材、屋上緑化用軽量土壌としてリサイクルが可能である。

《盛土・埋戻し材としてリサイクル》

盛土・埋戻し材は破壊ひずみが大きく、かつ変形係数が小さい。また残留強度の保持が可能となるので大きな変形(圧縮、引張り)に耐えることができる。
乾湿、気温等の変化に対する耐久性に優れており、ひび割れ・劣化等のない高耐久性改良土である。
《緑化基盤材・屋上緑化用軽量土壌としてリサイクル(再資源化施設で生産)》

建設汚泥、浄水発生土を原料とした改良土は保水性・通気性・保肥力の高い緑化基盤材、屋上緑化用軽量土壌に適用可能である。

4.技術の適用範囲等

 本工法は高含水比建設汚泥等に対して利用用途に応じた品質に改良する工法である。本工法は建設汚泥、浚渫土砂、浄水発生土等のうち「土壌環境基準」をクリアしたもので、含水比100〜500%程度の汚泥を対象とする。それ以上の含水比については室内試験にて改良材配合の確認を行う。

5.技術の適用実績

  仙台東部共同溝工事、平成15年10月〜平成15年12月   他261件