JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第9回国土技術開発賞

優秀賞(国土交通大臣表彰)

大断面分割シールド工法(ハーモニカ工法) (第9回国土技術開発賞 優秀賞)

応募技術名称大断面分割シールド工法(ハーモニカ工法)
副題小断面のシールドマシンで大断面のトンネルを掘る
応募者名大成建設(株)(※)
技術開発者〔大成建設(株)〕植田堅朗・小柳善郎/
〔(株)IHI〕門田克美・中根 隆/
〔石川島建材工業(株)〕若林正憲・進藤芳典
共同開発者(株)IHI/石川島建材工業(株)

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 幹線道路の交差点や踏切部などの交通渋滞解消を目的としてアンダーパスによる立体交差化が進められている。通常、市街地におけるアンダーパスの建設は主に開削工法で行われていたが、開削工法は供用中の道路上などに作業帯を設置する必要があるため、車線規制や車線数の減少、工事期間の長期化などの問題が生じていたため非開削による施工方法の実施が求められていたが、従来の非開削工法では曲線施工ができないことや、100mを越える区間を施工する場合には途中に中間立坑を設ける必要が有るため工期・コストとも増大するなどの課題があった。

2.技術の内容

 ハーモニカ工法は、大断面トンネルを3〜4mの箱型で格子状に等分割し、それぞれのトンネルを小型の泥土圧式矩形シールド機を複数回使用し、隣り合うトンネルに接触させながら地中にブロックを積み上げるように掘進を行い大断面のトンネルを掘削する工法である。掘削完了後の坑口形状がハーモニカの口元に似ていることから「ハーモニカ工法」と命名された。掘削機は,矩形断面の掘削に対し未切削部分を極力少なくするため、カッタは揺動式を採用した。推力は元押しジャッキによる推進方式とし、曲線施工対応として方向修正ジャッキを装備した。また、セグメントが接触した状態で掘進を行うので、セグメントの離れを防止するため特殊な継手を配置した。

3.技術の効果

 本技術の採用で、従来技術である外殻先行工法や大断面シールド工法に比べ以下の効果を得た。

1.ハーモニカ工法は小型の掘削機を使用するため、大断面シールド工法に比べ低土被りでの施工が可能で発進・到達立坑の深さが浅くなり、アプローチ部の延長も短くなる。また、掘進に伴う仮設備が小型化できることから小さい作業帯で施工が可能となった。
2.曲線施工や100mを超える施工が可能となり、最適な線形で施工が可能となる。
3.鋼殻を積み上げて大断面トンネルを構築するため、従来の非開削工法で行っていた、支保工の架設や内部掘削が不要となり、工期の短縮やコストの低減を可能とした。

4.技術の適用範囲等

・道路交差点部や鉄道横断部などのアンダーパス構築工事。
・施工延長が100mを超える、浅深度のアンダーパス、トンネル工事。
・縦断方向、平面方向に曲線を持つ、浅深度のアンダーパス、トンネル工事。
・地下埋設物が輻輳している下部に施工する地下構造物。

5.技術の適用実績

 (仮称)外苑東通り地下通路整備工事、平成16年10月〜平成19年9月
他1件

写真・図・表