JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第10回国土技術開発賞

入賞(選考委員会委員長表彰)

網チェーン式回収装置 (第10回国土技術開発賞 入賞)

応募技術名称網チェーン式回収装置
応募者名(独)港湾空港技術研究所
技術開発者〔(独)港湾空港技術研究所〕野口仁志

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 平成13年にハワイ沖でえひめ丸が沈没した際,回収に非常に日数・手間を要した状況を見て,簡易に任意の形状の物体を掴める装置ができないかと思い,網チェーンを用いた種々の形状の物体を吊り上げ可能な回収装置を考案した.

2.技術の内容

 網チェーン式回収装置は,潜水士等の支援を必要とせずに,吊りワイヤーの巻き上げ下げ操作だけで,対象物を掴み上げることができる.解放作業も吊りワイヤーを緩めるだけである.

 電力・油圧等の専用の動力や水圧に耐えるための構造は不要な簡易な装置なので,大水深においても吊りワイヤーの長さを延長するだけで対応できる.網チェーンで対象物を絡めて掴むため,任意の形状の対象物に対して適用可能である.

3.技術の効果

1.作業の無人化

潜水士,作業員の支援無しに,ブロックの回収・解放が可能である.

2.コスト縮減

ブロック1個当たりの撤去コストを、工事実績データを基に従来工法と比較した。

従来の作業員(海面上ブロック)による方法でのブロック1個当たりの撤去コストを「100」とすると、従来の潜水士(海面下ブロック)は「167」となる。
本装置での実績は、海面下ブロック(視認可)で、「96」。
本装置に適した作業形態で行われたと想定して試算すると、「34」。この値は従来の潜水士工法の1/4程度にコスト削減に相当する。
3.大水深海域においても,適用可能である。

水深180mの海底に沈んだ水中翼の回収に成功(H19.7)したことで実証された。
4.高い実用性(汎用部材で製作。特別な技能不要の操作)

チェーン、型鋼、鋼管等の一般的な汎用部材のみで、回収装置を構成し,製作した。
クレーンから吊るし,クレーン運転者がワイヤーの巻き上げ下げを操作する形態で運用可能.

4.技術の適用範囲等

・既設ブロック撤去作業
・海底落下物の回収作業
・海面浮遊物(ゴミ等)の回収作業

5.技術の適用実績

水中翼回収作業、平成19年7月,  他4件

写真・図・表