JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第10回国土技術開発賞

入賞(選考委員会委員長表彰)

パラビエンタ (第10回国土技術開発賞 入賞)

応募技術名称パラビエンタ
副題軽量かつローコストでデザイン性の高いユニット型の壁面緑化システム
応募者名清水建設(株)
技術開発者〔清水建設(株)〕中村健二・薬師寺圭
〔みのる産業(株)〕藤井一徳・森下照久
共同開発者みのる産業(株)

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 近年、都市のヒートアイランド現象緩和や景観向上を目的に、建物外壁の緑化ニーズが高まっている。しかし従来のツル植物を使用した登ハン型や下垂型では、比較的コストは安いもののデザイン性に乏しく、管理手間が多くて緑化に時間を要していた。また壁面に緑化基盤を造成するユニット型では、基盤土壌の流出やユニットの荷重、高いコストが課題となっていた。

 このため在来工法に代わる【高デザイン性】【ローメンテナンス】【緑化時間の短縮】【品質向上】【軽量】【ローコスト】等を実現した壁面緑化技術が求められていた。

2.技術の内容

 本技術は、「熱融着繊維」という特殊なポリエステル繊維を使用して固めた「熱融着培土」を使用したユニット型の壁面緑化システムである。熱融着培土は保水性・排水性に優れるとともに土壌流出がほとんど発生しないため、5cmという薄層でも多様な植物を良好に生育させることが可能であり、植物管理作業等の軽減をはかることができる。

 本システムは、図1に示すようなシンプルな構成で、緑化ユニットが軽量なため、写真2に示すような簡単な手順で施工することができる。写真1に示すように、ユニットの配置や使用する植物の色合い等を変化させることで壁面を緑で自由にデザインすることが可能となる。

3.技術の効果

・従来のユニット型システムと比較して、システム重量30〜60%の軽量化および壁面緑化コスト30〜47%の削減を達成した。
・緑化ユニットの軽量化とシステム構成の単純化により、施工手間と工費を約50%削減した。
・建物外壁の表面温度を最大で約11℃、緑化ユニット裏の壁面温度を最大で約14℃低減し、都市のヒートアイランド現象緩和や建物の省エネルギーに貢献した。
・本システムにて壁面を緑化することにより、アンケートによる壁面の景観評価が向上した。
・本システムに使用した熱融着培土の吸音性能により、都市の騒音低減に貢献した。
・本技術はシンガポール、UAE、アメリカ、オーストラリア等の海外からも関心を頂き、日本の環境技術の海外PRに貢献した。

4.技術の適用範囲等

・事務所や住宅、学校など各種建物の外壁、土木構造物の外壁、擁壁
・外廊下や階段の手摺、外溝フェンス、耐震補強フレーム等

5.技術の適用実績

大阪大学FRC研究棟1号館壁面緑化工事、平成17年10月〜平成18年3月   他12件

写真・図・表