JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第11回国土技術開発賞

地域貢献技術賞(国土交通大臣表彰)

マルチスライド工法『スライドレール』 (第11回国土技術開発賞 地域貢献技術賞)

応募技術名称マルチスライド工法『スライドレール』
副題コンクリート二次製品の鋼球を用いた搬送設置工法
応募者名(株)オクト
技術開発者〔(株)オクト〕奥田 智一
〔(株)丸治コンクリート工業所〕廣瀬 貴
共同開発者山陽ブロック工業(株)
(株)ネオジオ
(株)丸治コンクリート工業所

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 今後の公共工事は、道路、下水道等を中心とした生活環境空間の整備・維持・改修工事が多くなるものと考えられる中で、市街地及び住宅密集地近隣では、立体交差・高架橋・電線等の上部障害物が集合すると同時に騒音・振動公害問題等で工事用機械(クレーン等)に対する近隣住民らの要請も強く、工事を行うに当り支障をきたす現場が益々多くなってきました。本工法は、この様な問題に対し特殊技術、特殊施工機械が不要で一般的な施工会社であれば施工出来る、又施工延長の長短に関わらずメートル単価がほぼ一律となる施工方法を社会ニーズとして開発することにしました。

2.技術の内容

 コンクリート基礎打設時にレール(不等辺山形鋼)を埋設し、レールの縦断勾配に影響されることなく転動を抑え、所定位置に鋼球を留める専用粘着剤を塗布し、鋼球を散布する。鋼球上にソリ(不等辺山形鋼)を配置して製品をその上に積載し、ミニバックホウで押して鋼球の回転運動により製品を設置位置まで移動させ、底版開口部より充填材を注入して施工を終えるコンクリート二次製品の搬送設置工法です。

3.技術の効果

● レール・ソリ鋼材は経済性・調達の容易さで不等辺山形鋼を基本とし、特殊加工は不要です。
● 国土交通省土木工事積算基準のボックスカルバート工の区分に基づき鋼材サイズを標準化する。
● 鋼球は安全性を考慮して高負荷用ベアリングに使用しているクロム鋼球を使用する。
   7/16インチ(10トン以上は1/2インチ)
● 粘着剤はコスモ石油ルブリカンツ(株)より供給して頂く。名称はコスモオクトールとする。
● 移動手段は、「製品重量(W)×0.2の機械質量を有する機種」とする。
   ミニバックホウの機種選定基準を設定する。
● コンクリート二次製品は一般市販品が使用可能です。
   ボックスカルバート、大型フリューム(水路)・自由勾配側溝・貯水槽など施工実績が有ります。

4.技術の適用範囲等

● クレーン作業が困難又は出来ない箇所でのコンクリート基礎が伴うコンクリート二次製品の設置工事です。(但し、クレーン作業が可能な製品搬入口が1箇所必要)
● ボックスカルバート・大型水路・L型擁壁・L型水路・自由勾配側溝・共同溝等コンクリート二次製品の設置工事です。

5.技術の適用実績

賢島港連絡道路雨水排水設置工事 平成19年9月  他17件

6.地域への貢献

 昔からの集落の中はリヤカーが通れる程度の広さの道が入り組んでおり、土木用施工機械・車両等の通行が妨げられ、工事が出来ないため、ついつい後回しにされ多くが放置され、手が付けられない状態にある。本工法はレールを正確に設置することを基本とするだけで、地元に密着した施工会社が問題なく施工可能である。村落の下水・排水路等の改修・改良を進め生活環境の改善が行われば、村落より移住しようとする人々を抑えることができ、定住が促され地域の活性化につながると思います。

写真・図・表