JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第11回国土技術開発賞

地域貢献技術賞(国土交通大臣表彰)

ワイドウォール工法 (第11回国土技術開発賞 地域貢献技術賞)

応募技術名称ワイドウォール工法
副題積みブロック擁壁の積み上げと同時に完成する道路拡幅工法
応募者名(株)カンケン
技術開発者〔(株)カンケン〕林 利寿
共同開発者(有)インパクト

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 本技術の開発は、近年国土交通省が進めている総合的なコスト縮減やローカルルールの導入が背景となっている。そこで、そのような背景をもとに、安全に社会資本整備ができる技術として、従来技術の特徴を残し、既存ストックを有効利用でき、総合的にコスト縮減が図れる技術(工法)を開発することになつた。

2.技術の内容

 本技術は、従来工法(大型ブロック積み擁壁等)と同様に施工することにより、2.0m程度の拡幅を行うことができ、施工性や信頼性等を損なうことなく、安全な道路拡幅を行えます。急峻な地形での道路拡幅においては、擁壁高を従来工法と比較して低くできるため、経済性においても優れている。そして、掘削による影響を最小限とすることができるため、現道通行を妨げることなく施工できる。
 このような事から、本技術は特に1.5車線的道路整備や用地等の制約を受ける場所において非常に有効な技術であると考えている。大型ブロック製品内部には、空間部を設けてあり、野鳥の水場・営巣等にもなることから、環境に配慮した技術である。

3.技術の効果

 本技術の効果と下記のとおりである。

● コストの縮減
本技術は、高さ4.0mの直壁部を有していることにより、山間部等の斜面上に基礎が設置される場合、従来技術(もたれ擁壁等)に較べて基礎位置を高くできることにより、全体擁壁高を低くすることができ、コスト縮減を図ることができる。
● ローカルルール(1.5車線的道路)への対応
本技術は、現況の1車線の用地幅のままで、2.0m程度の道路拡幅をすることができるため、1.5車線的道路整備に対して十分に対応した技術・製品である。
● 環境への配慮
野鳥に対しての水場等の機能を、ブロック製品前面の空間部を利用して付加した。

4.技術の適用範囲等

● 擁壁高は、5〜15mにおいて適用できるが、設計条件により適用範囲は変わる。
● 軟弱地盤等での採用は、十分な支持力検討が必要となる。
● 従来工法(大型ブロック積み擁壁、もたれ擁壁等)が適用できる範囲であれば全て適用可能である。

5.技術の適用実績

室道改第3号県道佐喜浜吉良川線道路改良工事、平成18年2月〜平成18年3月   他5件

6.地域への貢献

 四国地域は、公共交通機関があまり整備されておらず、道路整備は欠かせない事業である。本技術は、各地方で導入されている「1.5車線的道路整備」において有効な技術である。限られた用地、急峻な斜面等で擁壁高を低くできることから、コストを縮減できる経済的な技術であり、地域の道路整備を進めることに貢献している技術と考えている。また既存ストックを全て取除くことなく、一部に本技術を採用することにより、2.0m程度の道路拡幅を行うことができる。このように、路線全線の改良を行うのではなく、必要な所に最低限の整備を行うことができます。限られた予算で有効に社会資本整備を行うためには、非常に有効な技術の一つであると考えている。

写真・図・表