JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第11回国土技術開発賞

入賞(選考委員会委員長表彰)

KUMONOS (第11回国土技術開発賞 入賞)

応募技術名称KUMONOS
副題クラックスケール内蔵光波測量器を用いたひび割れ計測システム
応募者名関西工事測量(株)
技術開発者〔関西工事測量(株)〕中庭 和秀

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 コンクリート構造物の維持管理調査は、ひび割れ調査を行うのが一般的である。しかし、今までのひび割れ調査はクラックスケールを直接ひび割れに当てて測定しなければならず、手が届かない場所のひび割れは高所作業車や足場等を用いなければならなかった。また、データはすべてスケッチである為、測定者ごとに個人差が生じ、前任者のスケッチを後任者が見てもわからないことが多く、経年変化を観察することが困難であった。したがって、離れた場所から、測定者の安全を確保し、ひび割れ調査結果を正確にデジタルデータ化できる技術の開発が必要不可欠となった。

2.技術の内容

 本技術は、光波測量器に独自のクラックスケールを内蔵している。このため離れた場所からコンクリート構造物に生じたひび割れの幅・長さ・形状・位置座標が測定でき、測定したデータは専用アプリケーションソフトを介してCAD図面として自動描画することができる。光波測量器を用いてひび割れ測定を行うため、すべての測点は3次元座標データとして記録され、橋梁、擁壁、堰堤などの展開図、およびトンネルなどのアーチ状構造物の展開図も高精度に作成できる。

3.技術の効果

● 50m離れた場所から0.2mmの幅測定を可能にした。
● 高所作業車および足場等の設置が不要となり、測定者の安全性が向上した。
● 高所作業車等の費用が不要となり、必要人工数が削減できるため、コストが約2割縮減できた。
● 専用アプリケーションソフトによる自動描画機能によって、トレース工程が約42%削減できた。
● 従来の測定方法により作成したスケッチ図面では18mm〜72.5mmの位置誤差が生じたが、本● 技術を用いると1.8mm〜2.5mm程度まで誤差を削減できた。
● 測定データを3次元座標データ化したことにより経年変化管理ができるようになった。

4.技術の適用範囲等

● 直接手が届かない場所および高所作業車や足場等の設置が困難な場所に最適
● 測定対象構造物は橋梁、擁壁、堰堤、トンネル、コンクリート舗装、その他コンクリート構造物全般

5.技術の適用実績

大学キャンパス内校舎のひび割れ劣化状況の把握、平成20年11月〜平成21年2月  他64件

写真・図・表