JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第11回国土技術開発賞

入賞(選考委員会委員長表彰)

加熱蒸気を用いたダイオキシン類汚染土壌の浄化技術 (第11回国土技術開発賞 入賞)

応募技術名称加熱蒸気を用いたダイオキシン類汚染土壌の浄化技術
副題スーパースチーム工法
応募者名大旺新洋(株)
技術開発者〔大旺新洋(株)〕金澤 正澄・百代 淳一
共同開発者西松建設(株)

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 社会的な背景としては、ダイオキシン類、PCBに汚染された土壌の浄化には費用がかかり処理が進んでいないことが上げられる。溶融技術はあまりにもコストが高く、溶媒などを用いる化学的な処理方法も同様に非常に費用が高い。一方、PCBに汚染された土壌などは、国際公約もあって処理が急がれている。

2.技術の内容

 本分解法は、過熱蒸気雰囲気下(500℃〜600℃)でダイオキシン類汚染土からダイオキシン類をガス化させるとともに、過熱蒸気でダイオキシン類の分解無害化を行う処理方法である。  ガス化装置で揮発させたダイオキシン類を含む難分解物質を反応器に導き、過熱蒸気雰囲気下(還元性雰囲気下、900℃)でガス化するとともに、加水分解、熱分解を主反応とする分解を行う。続く処理として、後処理器へと導き、空気などの酸素源を供給することで、CO2、H2O、HClまで加水酸化分解する。なお、HClは液分離タンク(バブルリングタンク)においてCa(OH)2で中和し、CaCl2とする。

3.技術の効果

技術開発の目標設定と達成度

1. コスト縮減:処理対象土量1万t以上の場合、処理単価5万円/t以下。→達成度80%
2. 工期短縮:1システム当たりの処理能力、1t/hr以上。→達成度100%
3. 施設の機能向上:ダイオキシン類汚染土の場合、処理後のダイオキシン類濃度1,000pg-TEQ/g以下及びダイオキシン類汚染底泥の場合、処理後の濃度150pg-TEQ/g以下。→達成度100%

4.技術の適用範囲等

● 適用土質は底質・一般土を問わない。ダイオキシン類の汚染濃度も問わない。
● ダイオキシン類に限らず、PCB汚染、VOCsの汚染であっても適用可である。
● 複合汚染に関しては、最も得意とする分野であり、VOCs、油分、ダイオキシン等が混じっていてもすべてガス化して、反応器に送り込み分解可能である。

5.技術の適用実績

新和田岬ポンプ場ダイオキシン類汚染底泥無害化処理業務
平成20年3月〜平成22年3月   他1件

写真・図・表