JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第12回国土技術開発賞

入賞(選考委員会委員長表彰)

ナックル・ウォールおよびナックル・パイル (第12回国土技術開発賞 入賞)

応募技術名称ナックル・ウォールおよびナックル・パイル
副題東京スカイツリー(R) を支える節付き杭技術
応募者名(株)大林組
技術開発者〔(株)大林組〕佐藤眞弘・石井雄輔
共同開発者(株)特殊構工法計画研究所/丸五基礎工業(株)

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 近年、建物の高層化や重量化に伴い杭基礎に作用する引抜き力・鉛直支持力が増大する傾向にある。杭を支持地盤へ長く根入れすることや、ケーソン基礎などのような大型基礎により、これらの力に対処する必要が生じている。杭の長尺化や基礎の大型化は、工期の増長・コストの増加だけでなく、掘削土の排出量やコンクリート打設量の増加による環境負荷を招くことになる。また、重機の稼動時間や運搬車両によるCO2 排出量増加にも直結しており、地球環境への影響も懸念される。これに対して、ナックル・ウォールおよびナックル・パイルは、引抜き力・鉛直支持力に対して節部が抵抗することで、大きな抵抗力が得られる。その結果、杭や基礎に必要な抵抗力を合理的に設計でき、杭長を短くすることや杭基礎断面のスリム化が可能となる。これらの効果によって本工法は、今後の建物の高層化、重量化に対応できるとともに環境負荷の低減が実現できる地球環境にやさしい技術である。

2.技術の内容

 ナックル・ウォールおよびナックル・パイル工法は、場所打ちコンクリート壁杭の壁部および場所打ちコンクリート杭の軸部に節部を設けることにより、鉛直支持力および引抜き抵抗力の増大を図ることを可能とする技術である。本工法は、壁部または軸部を築造後、節部専用バケットを用いて節部形状を築造する工法である。

3.技術の効果

【抵抗力の確保】
 対象地盤種ごとの確保でき得る節部抵抗力の設計・施工法を確立した。

【環境配慮】
 掘削土およびコンクリート打設量を低減することにより、環境負荷の低減を可能とした。また、工期の短縮による施工機械の稼動時間の減少や掘削土およびコンクリートの運搬車両の減少は、CO2 排出量の低減も可能とした。

【工期短縮】
 在来工法に比べ、最大20%程度の工期短縮が可能となる。

【コストダウン】
 在来工法に比べ、最大20%程度を実現している。

4.技術の適用範囲

  • 軸部径700〜3200mm、節部径1200〜4600mmまで対応可能
  • 大きな引抜き力および押込み力が作用する大規模建築物
  • 鉄道上の高架やエネルギー施設など大規模土木構造物

5.技術の適用実績

東京スカイツリー建設プロジェクト、平成20 年7月〜平成20 年11月 他4件

写真・図・表