JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第12回国土技術開発賞

優秀賞(国土交通大臣表彰)

IH式舗装撤去工法 (第12回国土技術開発賞 優秀賞)

応募技術名称IH式舗装撤去工法
応募者名(株)竹中道路
グリーンアーム(株)
技術開発者〔(株)竹中道路〕若林伸介
〔(株)竹中工務店〕原川健一
〔グリーンアーム(株)〕尹恢允
〔(株)技術開発研究所〕秋山和夫

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 近年、鋼床版上の舗装は、交通荷重など様々な要因で損傷を受け、舗装の全層打換えを行うケースも増えてきている。修繕工事の際に行われる鋼床版上の舗装全層の撤去は、一般的に路面切削機を鋼床版が損傷しない深さまで使用し、残った舗装部に平爪を装着したバックホウなどで丁寧に舗装を剥ぎ取る。さらに、機械での撤去が困難なボルト接合部などは人力によるはつりで剥ぎ取る場合が一般的である。そのため、鋼床版上の舗装修繕工事を行う住宅密集地区では、粉塵、騒音の問題から交通規制時間に制約を受けることが多い。

このような課題を抜本的に解決するための独創的な技術として電磁誘導加熱を活用した舗装撤去工法(以下IH 式舗装撤去工法と呼ぶ)の開発に着手した。

2.技術の内容

 IH 式舗装撤去工法は、電磁誘導加熱技術を利用し、アスファルト舗装と鋼床版上に設けられたアスファルト舗装体の下面に軟化層を作り、効率的に鋼床版上の舗装版を撤去する工法である。本工法により、鋼床版を60℃〜 90℃に加熱して、鋼床版上のアスファルト舗装体(グースアスファルト舗装体等)を直接加熱することなく、アスファルト舗装体下面を軟化させ、アスファルト舗装をブロック状にスムーズに剥離することができる。この工法を用いることにより、粉塵を抑制し、低騒音のため、夜間工事が制約なくできるメリットがある。さらに鋼床版を傷つけないなどの利点を有するので舗装撤去工事において、優れた工事環境の改善を実現する新技術である。

3.技術の効果

  1. アスファルト舗装をブロック状にスムーズに撤去できるので、舗装撤去材の飛散、粉塵抑制が実現できる。
  2. 騒音の発生を抑制でき、工事環境改善に寄与できる。さらに、低騒音のため作業時間帯の制限が大幅に緩和されるメリットがある。
  3. アスファルト舗装の撤去時に鋼床版を傷つけない。さらに、アスファルト舗装体の下面に軟化層が残らないため、次の工程作業に進むことができる。

4.技術の適用範囲

  • 鋼床版を有する舗装
  • 都心部や住宅街などの粉塵、騒音に配慮が必要な地域

5.技術の適用実績

43 号神戸地区舗装修繕工事(平成21 年1 月〜平成21 年2 月) 他3 件

写真・図・表