JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第12回国土技術開発賞

優秀賞(国土交通大臣表彰)

ジャケット式桟橋の長期防食システム (第12回国土技術開発賞 優秀賞)

応募技術名称ジャケット式桟橋の長期防食システム
副題耐海水性ステンレス鋼ライニング、チタンカバープレート+大空間桁内除湿システム
応募者名新日鉄エンジニアリング(株)/ JFE エンジニアリング(株)
技術開発者〔新日鉄エンジニアリング(株)〕阪上精希・藤川敬人
〔JFE エンジニアリング(株)〕森浩章・岩廣真悟
共同開発者国土交通省関東地方整備局東京空港整備事務所/三菱重工業(株)/鹿島建設梶^(株)大林組
五洋建設(株)/大成建設(株)/東亜建設工業(株)/西松建設(株)/前田建設工業(株)

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 近年、社会資本の老朽化に伴う維持管理費用の増大が大きな懸念事項となっており、港湾施設として用いられる鋼構造物についても、ライフサイクルコストに優れた防食技術の確立が求められている。

 現在建設中の東京国際空港D 滑走路建設工事においても、100 年間の設計供用期間の耐久性が確保され、適切な維持管理が行えるとともに、短工期・大量施工に対応可能な技術提案が必要であった。

2.技術の内容

本技術は、腐食環境並びに構造上の特徴により、下部工部分と上部工部分に大別できる。

@下部工(耐海水性ステンレス鋼ライニング)
 干満・飛沫帯には、構造用鋼管の表面を海洋環境での耐食性に優れた耐海水性ステンレス鋼の薄板で覆う耐海水性ステンレス鋼ライニングライニング工法を開発した。耐食性に優れた材料を選定し、0.4mm の薄板を高能率で安定的に鋼管に溶接するための溶接施工法を開発することにより、従来の有機ライニングに比べて飛躍的に長期の耐久性が期待できる防食工法である。

A上部工(チタンカバープレート+大空間桁内除湿システム)
 コンクリート床版を支持する鋼桁の下面及び外周全体に、雨水や塩分の進入を防止するカバープレートを設置し、床版とカバープレートで覆われた内部空間の相対湿度を除湿機や送風機、送気配管等から構成される除湿システムにより低減することによって、鋼桁の塗装寿命を大幅に延長する工法である。カバープレートは、外面にチタンの薄板を配置して耐久性を高めたパネルを用い、軽量で風荷重、作業荷重に耐えうる強度、剛性を有している。

3.技術の効果

耐食性金属で鋼材を覆うことにより、防食寿命の長期化が図られ、期待耐用年数100 年の防食工法を確立することができた。上部工については、チタンカバープレートを維持管理用の足場として利用することが可能であり、鋼桁の他に床版や付帯設備の維持管理性の向上を図ることができる。

4.技術の適用範囲

  • 桟橋をはじめとするジャケット式構造物の下部工、上部工
  • 耐海水性ステンレス鋼ライニングは海洋・港湾鋼構造物への適用が可能
  • チタンカバープレート+桁内除湿システムは橋梁上部工にも適用可

5.技術の適用実績


東京国際空港D 滑走路建設外工事、平成17 年3月〜平成22 年8月(予定) 他2件

写真・図・表