JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第13回国土技術開発賞

優秀賞(国土交通大臣表彰)

ハーフプレキャスト工法を適用した鉄道ラーメン高架橋の構築方法 (第13回国土技術開発賞 優秀賞)

応募技術名称ハーフプレキャスト工法を適用した鉄道ラーメン高架橋の構築方法
副題連続立体交差事業の長期化を解消する鉄道営業線直上における鉄道高架橋の構築方法
応募者名東急建設(株)/川田建設(株)
技術開発者〔 東急建設(株)〕服部尚道・黒岩俊之
〔川田建設(株)〕小西哲司・王肇明
〔(公財)鉄道総合技術研究所〕谷村幸裕
共同開発者(公財)鉄道総合技術研究所

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 「開かずの踏切」の抜本対策である連続立体交差事業が全国で展開されている。従来、連続立体交差事業は、仮線用地を確保しながら線路を切り替え、空いたスペースに場所打ち工法で鉄道ラーメン高架橋を段階的に構築していく仮線方式を適用することが一般的であるが、人口密集地域では仮線用地取得に時間を要し、事業自体の停滞・遅延が課題となっている。このような課題を解決するため、鉄道営業線の直上に高架橋を構築する直上方式が注目を集めているが、直上方式を場所打ち工法で施工する場合、線路上空における支保工の組立・解体や設置期間が長期にわたり、営業線に対する安全性リスクが高いことから、ほとんど実施されていないのが現状である(表−1、表−2)。

2.技術の内容

 本技術は、工場製作したハーフプレキャスト部材を適用し、線路上空および近接の支保工を不要として安全性リスクを最小限とすることで、営業線直上にラーメン形式の鉄道高架橋を構築する直上方式を可能にしたものである。具体的には、耐震性を立証した接合構造を有する柱と、鉄道特有の乗り心地に配慮してそりの制御を行った梁・スラブを品質管理に優れる工場で製作し、営業線の安全性確保や夜間の周辺環境維持に配慮した要素技術を用いて現地で組み立て、現場打ちコンクリートで順次一体化させて高架橋を構築するものである(図−1、写真−1、写真−2)。連続立体交差事業の長期化を解消できる本技術は、安全で効率的な暮らしが行える国土の創造に貢献できる技術である。

3.技術の効果

【直接効果】
鉄道営業線直上における3 径間連続1 層式ラーメン高架橋の柱・梁・スラブ工において、場所打ち工法と比較して、工期は約50%の短縮、工費は約10%の削減であった。

【間接効果】


  • 型枠・支保工の組み立て・解体不要による鉄道営業線の安全性確保
  • 急速施工実現により全体事業期間短縮に寄与
  • 工場製作のプレキャスト部材適用による高架橋の長期耐久性の確保
  • 夜間作業騒音を発生させないことによる近隣住民の苦情ゼロ

4.技術の適用範囲

  • 鉄筋コンクリート構造の鉄道ラーメン高架橋の柱、梁、スラブ
  • 鋼構造の鉄道ラーメン高架橋のスラブ

5.技術の適用実績

〔京急蒲田駅付近連続立体交差事業〕本線土木工事、平成20 年1月〜平成21 年8月 他3件

写真・図・表