JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第14回国土技術開発賞

入賞(選考委員会委員長表彰)

SAVE-SP工法 (第14回国土技術開発賞 入賞)

応募技術名称SAVE-SP工法
副題砂圧入式静的締固め工法
応募者名(株)不動テトラ
技術開発者〔(株)不動テトラ〕磯谷修二
共同開発者(株)ソイルテクニカ

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 近年、既設の岸壁、空港滑走路や護岸・河川堤防などの耐震性向上のため、狭隘地や構造物直下でも適用可能な液状化対策工法が求められている。代表的な液状化対策工法であるサンドコンパクションパイル工法は大型施工機械を用いるため適用できない場合が多く、小型施工機を用いる薬液注入系の固化工法等が利用されている。しかしながら、さらなるコスト削減や環境負荷の軽減を図ることのできる工法が求められていた。

2.技術の内容

 SAVE−SP工法は、ポンプで圧送可能にした砂(流動化砂と呼ぶ)を、小型施工機のロッドを通して地盤内に圧入することによって緩い砂地盤の締固めを行う地盤改良工法である。小型施工機の使用により狭隘地においても施工が可能であり、斜め施工や硬質障害物等の貫入にも対応できるため、既設構造物の直下の改良にも対応できる。SAVE−SP工法の施工機械の構成事例を図−1に示す。また、施工機械と流動化砂の製造プラントをそれぞれ写真−1〜写真−4に示す。

 SAVE−SP工法の改良原理は、SCP工法に代表される密度増大による従来の締固め工法と同様である。従来工法と異なる点は、地中に圧入する材料の状態である。圧入材料は、SCP工法等に用いられる砂を専用プラントにて流動化剤と混練し、ポンプ圧送可能な状態にして使用する。流動化砂の状態変化を図−2に示す。流動化砂は所定深度まで貫入されたロッドを通じて地中に圧入され、周囲の地盤を締め固める。圧入された砂は、排出時の脱水および遅効性塑性化剤の作用で流動性が消失し、良好な地盤を形成する。改良効果を図−3に示す。写真−5、6に示すように流動化剤は間隙水の粘性を高め、砂と水の分離を抑制して圧送性を向上させる。圧入中はこの流動化砂が脱水し締め固められ、遅効性塑性化剤の効果により流動化剤の網状構造が消え摩擦が完全に回復する。

3.技術の効果

  • 薬液注入系の固化工法に対してコストの縮減と工期の短縮が可能である。
  • 地盤に圧入する材料は自然材料である砂のため、セメント系材料に比べてpH値の上昇などの環境に関する影響を低減できる。

4.技術の適用範囲

  • 対象地盤は、液状化のおそれのある飽和した緩い砂質地盤(N値20以下程度)である。
  • 適用用途は、狭隘地や既設構造物周辺や直下の締固めであり、港湾空港施設(護岸や岸壁、滑走路や誘導路等)、道路河川構造物(橋台、河川堤防等)の液状化対策である。
  • 使用可能な砂は平均粒径0.2〜0.5mm、細粒分含有率5%程度の砂である。
  • 改良深度は20m程度で、施工機械を選定すれば40mまで施工は可能である。

5.技術の適用実績

平成22年撫養港海岸桑島瀬戸地区堤防改良工事(その4)、平成23年1月〜平成23年3月、他5件

写真・図・表