JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第15回国土技術開発賞

地域貢献技術賞(国土交通大臣表彰)

中山間道路走行・ゆずりあいロード支援システム (第15回国土技術開発賞 地域貢献技術賞)

ミッション中山間道路走行・ゆずりあいロード支援システム
応募技術名称中山間道路走行・ゆずりあいロード支援システム
副題ITS走行支援システム
応募者名高知工科大学/高知県
技術開発者〔高知工科大学〕 熊谷 靖彦/〔高知県〕 北川 尚/筒井 啓造

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 高知県は中山間地域の補助的幹線道路では、新たな1.5車線的道路を提案し整備を進めているが行き違い困難な1車線道路が存在し出会い頭事故や行き違い困難な状況を生み出している。対策として、平成16年度に当該箇所にお互いの接近を相手側に自動的に知らせ、事前に速度を落とし注意する、或いは待機する等の対策を促す、ITS技術を駆使した中山間道路走行支援システム(図−1、写真−1、2)を開発した。既に高知県内に加え静岡県他計7県で採用され64箇所で実導入されている。更に、平成23年度に複数狭隘区間を一括制御するゆずりあいロード支援システム(図−2)を開発した。種々の改良を行い、大幅なコスト低減により高知県や静岡県で導入を開始している。

2.技術の内容

 システムの基本的機能はドライバーに対向車の接近を狭隘区間の直前で表示提供するもので、狭隘区間が二箇所連続してある場合のシステム構成を図−2に示しているが、中継機能を有することで情報提供区間を延長することができる。ドライバーへの情報提供は設置条件等に応じて、文字表示、簡易表示及び動的ピクトグラムを選択する。点滅周期を情報として提供する等の特徴が有している。

3.技術の効果

 直接及び間接効果が考えられる。直接効果としては、狭隘区間での後退等に伴う損失時間の減少、ひいては平均走行速度の向上と、突然対面による緊張感の緩和や運転のし易さ等、設置道路の満足度の向上があり、走行の円滑化と安全に寄与していると言える。一方、間接効果としては、県が進める1.5車線的道路整備を側面推進する事が考えられ、道路整備全体を進める事となる。因みに、従来の道路整備に比し、建設費で1/8、工期で1/3に短縮する効果が報告されている。

4.技術の適用範囲

 1.5車線的道路の1車線区間、狭隘トンネルや橋梁、特に大型車の進入により反対側からの進入が不可の区間等の見通し不良箇所が対象として考えられる。具体的には、接近し連続してカーブミラーがあり前方まで見通せない箇所、カーブミラーの構造上前方が見えない、上り勾配のカーブ等である。

5.技術の適用実績

国道493号他対向車接近表示装置開発委託業務、平成16年4月〜平成17年3月
 交通安全施設整備事業 設置基数 高知県内 26基、高知県外 41基(H24.3月末)

6.地域への貢献

 本システム導入により、地域住民、特に高齢者ドライバーの走行の円滑化と安全性確保に寄与している。アンケートによると8割ほどの人が必要性を回答している。(表−1) 又、本システムは1.5車線的道路整備の補完システムと考えられ、県の道路整備推進に寄与していると言える。システム製造は地元企業が行っておりビジネスおよび製造技術向上の貢献も考えられる。

写真・図・表