JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第19回国土技術開発賞

入賞(選考委員会委員長表彰)

カルシア改質土による大規模埋立技術(第19回国土技術開発賞 入賞)

応募技術名称カルシア改質土による大規模埋立技術
副題循環資源のリサイクルに資する急速埋立施工技術
応募者名新日鐵住金(株)、五洋建設(株)
技術開発者五洋建設(株) 中川雅夫、新日鐵住金(株) 赤司有三、五洋建設(株) 田中裕一
共同開発者カルシア改質土研究会

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 通常の埋立工事においては、港湾工事で発生した軟弱浚渫土をそのまま揚土した後に、サンドドレーン 等の地盤改良を施し土地を整備するが、一般的には工期が長くなり、かつ載荷盛土材として大量の良質土 (購入土)が必要となる。
 カルシア改質土は、軟弱浚渫土にカルシア改質材(転炉系製鋼スラグを成分管理・粒度調整した材料) を20 〜 30%程度混合した材料であり、強度発現する特徴がある(図−1.1)。そこで、カルシア改質土 を埋立材として使用することにより、循環資源の有効活用が可能で、安価かつ早期に土地利用が可能な、 大規模・急速埋立施工技術を開発した。

2.技術の内容

 本技術は、建設発生土である浚渫土と、産業副産物の転炉系製鋼スラグという循環資源を大量にリサイ クルする技術である。軟弱な浚渫土を適用した大規模・急速施工技術としては、セメント固化による埋立 工法があるが、本技術では、セメント固化より安価で容積の大きいカルシア改質材を適用することで、よ り安価な急速施工が可能になる。
 これまで、浚渫土とカルシア改質材を混合する工法として、バックホウやミキサーで混合する工法はあっ たが、3,000 〜 4,000m3/ 日の大規模施工には不適であった。そこで、大規模施工に適用可能な「管中混合 方式」および「落下混合方式」の2つの混合工法を開発することにより、現地の条件に応じて効率的な施 工を可能とするとともに、各施工法に適用可能なカルシア改質土の「品質管理方法」を確立した。
 尚、管中混合方式は、空気圧送船のホッパーに浚渫土とカルシア改質材を定量供給し、圧送管内の乱流 効果により混合する方法(図−1.2)であり、落下混合方式は、リクレーマ船のベルコン上に浚渫土とカ ルシア改質材を定量供給し、ベルコンの乗継部やスプレッダーからの落下過程等で混合する方法(図−1.3) である。実績例1においては、護岸から離れた場所では、カルシア改質土の長距離圧送が可能な「管中混合 方式」を、護岸近傍を埋め立てる場合は、「落下混合方式」を選定して適用することにより、最効率の急速 埋立施工を可能にした。

3.技術の適用範囲

カルシア改質土による数万m3以上の埋立造成、浅場造成等

4.技術の効果

 本技術を適用した実績例1の埋立造成の場合、浚渫土をそのまま投入してサンドドレーンにより地盤改 良を行う従来工法と比較して、施工単価は25%程度、工期は1/2 程度に縮減できた。また、セメント固化 処理土の管中混合方式と比較した場合でも、施工単価が20%程度縮減できた。更に、そのままでは利用の 困難な建設発生土や、産業副産物を大量に有効利用できる世界初の大規模・急速埋立施工が実現できた。

5.技術の社会的意義及び発展性

 循環資源の有効利用が求められる中で、今後とも大量に発生する浚渫土と鉄鋼スラグを、カルシア改質 土として、埋立造成や干潟・浅場造成の基盤材に有効活用する技術が確立できたことの社会的意義は大きい。

6.技術の適用実績

東海元浜北公有水面埋立事業   平成23年9月〜平成26年7月 埋立面積8.5 ha 埋立土量 51万m3 他1件

写真・図・表