受賞技術概要
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第18回国土技術開発賞
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- 第18回国土技術開発賞
入賞
高炉スラグを用いた低炭素型セメントと利用技術の開発(第18回国土技術開発賞 入賞)
応募技術名称 | 高炉スラグを用いた低炭素型セメントと利用技術の開発 |
副題 | ECM(エネルギー・CO2ミニマム)コンクリート・地盤改良工法 |
応募者名 | (株)竹中工務店 |
技術開発者 | (株)竹中工務店 青木雅路、鹿島建設(株) 坂田昇,東京工業大学 教授 坂井悦郎 |
共同開発者 | 東京工業大学 教授 坂井悦郎,日鉄住金高炉セメント(株),(株)デイ・シイ, 太平洋セメント(株),日鉄住金セメント(株),竹本油脂(株) |
技術の概要
1.技術開発の背景及び契機
建築・土木構造物の主要材料であるセメント製造時のCO2排出量は建設資材の50%以上と莫大であり,COP21のCO2削減目標のためには,副産物を有効利用した混合セメントのCO2削減率向上と利用拡大が社会的要請である。一方,これまで副産物である高炉スラグを高含有した場合は施工・品質上の課題があり40年近く実工事に適用されない状況だった。申請者らは7企業・1大学の「ECM共同研究開発チーム」を結成し,上記の実工事の課題を克服すべくCO2削減率6割以上と環境性能に優れ,経済性・汎用性にも優れたECMセメントの開発とそれを用いた建設技術の開発に同時に取り組んだ。
2.技術の内容
開発したECM(エネルギー・CO2ミニマム)セメントは鉄鋼製造副産物の高炉スラグを6〜7割と高含有したセメントである。従来,高炉スラグ高含有コンクリートの課題だった運搬中の流動保持性,強度の発現性,収縮ひび割れ発生を石膏最適化のセメント構成技術と化学混和剤技術で改善した点が他技術にない特徴である。またECMセメントを用いたコンクリート・地盤改良工法を構築することで、構造物への利用技術を開発した。同時に適用構造物の要求性能に併せた調合方法・施工・品質管理技術などの建設技術を開発し,ECMセメント構成の設計に反映させた。建築・土木構造物や杭・地盤・基礎構造物など多様な建設構造物への利用拡大が見込まれるシステムを構築した。
3.技術の適用範囲
本技術は,以下のような効果がある。
・ コンクリート製造時のCO2発生量を6割以上削減,地盤改良体は3〜4割の削減が可能である。
・ 高炉スラグ微粉末を6〜7割混合することにより,産業副産物の有効利用を図れる。
・ マスコンクリートは,低発熱による温度ひび割れ抵抗性の向上が可能である。
・ 地中・海岸構造物は,塩化物・酸の劣化に対しての耐久性向上が可能である。
・ コンクリートのアルカリシリカ反応(ASR)抑制効果が期待できる。
・ 地盤改良体は,六価クロムの固定化能力が高く土壌安全性が期待できる。
4.技術の効果
建築構造物の基礎や杭,土木構造物のマッシブな部材の全て,地盤改良体の全て
5.技術の社会的意義及び発展性
コンクリート: 大阪府立成人病センター整備事業,平成26年10月 他10件
地盤改良 : イオンモール堺鉄砲町,平成26年11月 他 4件
6.技術の適用実績
千葉駅改良・駅ビル建替工事他、平成23年11月〜平成27年11月 他4件