JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第2回建設技術開発賞

優秀賞(JICE理事長表彰)

ABCS (Automated Building Construction System) (第2回建設技術開発賞 優秀賞)

ミッション工事の省力化および生産性の向上に寄与する
応募技術名称ABCS (Automated Building Construction System)
副題全自動ビル建設システム
応募者名株式会社大林組

技術の概要

1.開発の背景と目的

 都建設労働人口の大幅減少とメカトロニクス技術の発展を背景に、建設分野での自動化・ロボット化の研究開発が進められた。当社では建築工事にファクトリ・オートメーションの考え方を導入することによって工事の自動化・ロボット化を図り、生産管理の情報化を積極的に推進した、より安全でより生産性の高い全自動ビル建設システム(ABCS)を開発した。作業空間を屋根と壁で覆うことによって天候に左右されない作業環境を生み出し、安定した工期の下に高品質な建物を施工することを可能としている。

ABCSは工法の特性上、工事用電力使用量の削減・搬入車両の削減・梱包材の削減など、時代のニーズを先取りし、地球環境や現場周辺環境の負荷低減を考慮した工法である。

2.技術の内容

 ABCSは、大きく(1)〜(3)の要素で構成される。

(1) 最上階を利用したビル建設工場、SCF(Super Construction Factory、写真1,2)
(2) SCF内外に設置されビルを建設するための搬送・取付を行う施工機械(図1、表1)
(3) (2)により行われるビル組立の生産管理を行うABCS総合管理システム(図2)

 (1)および(2)のハード、(3)のソフトを機能的に統合することによってABCSは高度の技術として成立している。(2)と(3)によって1フロアの工事が終了すると(1)を1フロア分上昇させ次の階の工事に進む。これを繰返し行い、最後に(1)を定着させてビルとなる(図3)。

3.技術の効果

 SCF内の快適な作業空間のもと在来工法と比較して、Q(品質),C(コスト),D(工期),S(安全),E(環境)において様々な効果を得た。
Q:操作性の高いSCFクレーン・外周ホイスト使用による取付精度の向上
C:職種の枠を越えた作業員の効率的運用によって全体労務を抑え、生産性向上が実現
D:全天候下における施工によって遅延のない予定通りの工事進捗が可能
S:堅固な作業床、安定した高所での作業による高い安全性の確保
E:周辺への騒音・振動・粉塵・飛散物などを最小限に抑えることが可能
 プレファブ化、仮設材削減、機械の効率的運用の推進による地球環境への負荷低減

4.技術の適用範囲等

  • 鉄骨造を対象とした建物の躯体工事、外装工事
  • 建物用途、階高には特に制限はなく、より高層である方が好ましい
  • 適用実績 NEC多摩川ルネッサンスシティ(1)新築工事 他1件