受賞技術概要
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第2回建設技術開発賞
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- 第2回建設技術開発賞
奨励賞(JICE理事長表彰)
環境保全に対応した中温化アスファルト混合物「ECOFINE」 (第2回建設技術開発賞 奨励賞)
ミッション | ライフサイクルコストを低減する |
応募技術名称 | 環境保全に対応した中温化アスファルト混合物「ECOFINE」 |
副題 | 製造・舗設時の温度条件を低減できる中温化アスファルト舗装技術 |
応募者名 | 日本鋪道株式会社 |
技術の概要
1.開発の背景と目的
加熱アスファルト混合物は、舗装材料として年間約7,000万トン使用されているが、製造時におけるエネルギー消費に伴うCO2の発生、補修工事における交通規制時間の短縮、および寒冷期施工における舗装体締固め度の確保などの課題を抱えている。
そこで、地球温暖化の防止、規制渋滞の緩和、舗装の長期供用性の確保など、省エネルギー・省資源の観点から環境保全に貢献することを主な目的として、加熱アスファルト混合物の加熱温度条件を従来よりも低減でき、しかも従来と同一とすれば高い締固め性が得られる中温化技術を開発したものである。
2.技術の内容
本技術は、特殊添加剤によってアスファルト中に発生させる微細泡(写真-1)の効果を利用するものであり、微細泡の発泡による混合性の向上と、微細泡のベアリング的な働きによる締固め性の向上(図-1)の両方を得ることができる。これら混合性と締固め性を同時に向上させることによって、加熱アスファルト混合物の温度条件を従来よりも約30℃低減しても同等の品質と施工性が確保でき、従来と同一温度とすれば更に高い締固め性が得られる。この技術を適用した混合物をECOFINEと称する。
3.技術の効果
- 製造温度を30℃低減した場合、CO2排出量は約14%低減できる(図-2)。なお、年間製造量を7,000万トンと仮定して適用した場合、18万トン程度のCO2削減につながる。
- 製造温度を低減することによって、施工後の舗装体温度の早期低下が図れるので、交通規制時間の短縮による渋滞緩和対策、そして初期わだちの抑制にも寄与できる。
- 施工性の向上;継手ボルト類の締結作業が不要となり、施工性が向上する。
- 内面平滑型セグメント;金物類を表面に出さないうえ、止水性が高いため、二次覆工を省略することができる。
- 従来と同一の製造温度として高い締固め効果を利用すれば、施工でのローラ編成の簡略化による舗設時CO2の排出削減と工事費の抑制、および厳しい気象条件下での締固め確保による耐久的な舗装の構築が可能となる。
4.技術の適用範囲等
- 本技術は、使用するアスファルトの種類や骨材配合の異なるほとんどすべての加熱アスファルト混合物に適用できる。
- 表-1の用途例に示すように、温度条件を低減する場合と、従来と同一温度とする場合の二通りの使い方があり、本技術の適用によってさまざまな効果が期待できる。
- 適用実績 常磐自動車道三郷IC〜土浦北IC間舗装改良工事 他54件