JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第3回国土技術開発賞

入賞(選考委員会委員長表彰)

入賞: エコカラムユニット工法 (第3回国土技術開発賞 入賞)

ミッション建設コストを縮減する
応募技術名称エコカラムユニット工法
副題外殻(がいかく)プレキャストを用いた柱・梁鉄筋ユニット化工法
応募者名(株)奥村組
技術開発者(株)奥村組 末岡和久
       上西 隆
       岡 靖弘
       細矢 博        河野政典

技術の概要

1.技術開発の背景と目的

 高齢化の進む日本では、近い将来、建設工事に従事する熟練労働者の絶対的不足からくる品質の低下や、生産性の低下が大きな問題となることが懸念されている。また、最近の環境に対する認識の高まりから、森林資源の保護も叫ばれている。このような現状のなかでは、部材のプレキャスト化がこれらの課題を解決する最も有効な手段となっている。これらの背景のもと、薄肉中空断面で帯筋が予め内臓された外殻プレキャストを用い、その特徴を生かして、柱・梁鉄筋を外殻プレキャストに組込み一体化したユニット化工法(エコカラムユニット工法)を発案した。

2.技術の内容

 本工法は帯筋を予め内蔵した外殻プレキャストを用い、柱型枠・柱鉄筋・梁鉄筋を一体化して同時に建込みを完了させる工法である。先ず、地上において2層分の柱主筋および梁鉄筋を組込んだユニットを作製する。次に、外殻プレキャスト、柱主筋、梁鉄筋を別々のワイヤーで治具を介して一体に吊り上げ施工階へ運ぶ。最初に柱主筋を機械式継手で接合する。帯筋が外殻プレキャストに内臓されているため、柱主筋は帯筋に拘束されていない。このため、吊り荷全体を下げれば柱主筋は下階鉄筋と接合されているために下がらずに、外殻プレキャストと梁鉄筋のみが柱主筋に沿ってさがり、着床して建込みが完了する。ユニットの柱筋の2層目(上階)は、次階施工時に外殻プレキャストの単体を柱筋の上部より降ろして建込む。

3.技術の効果

 型枠大工や鉄筋工のような熟練の技能工が不要で、多能工的職種での施工が可能である。外殻プレキャストと柱主筋、梁鉄筋の3部材を同時に建込むため、作業効率が上昇して工期の短縮が可能となる。

 袖壁付き柱の補強では、柱面にコの字型に炭素繊維シートを貼り付ける。袖壁に貫通孔をあけ、その孔にCFアンカーを通し、端部を扇状に広げて炭素繊維シートに接着する。こうすることで、柱に炭素繊維シートが閉鎖型に巻き付けられたのと同じ状態になる。

 この時ユニット化され、建込まれた柱主筋は2層1節であるため、柱主筋の継手個所数が在来工法や従来型プレキャスト工法の1/2となる。これらの相乗効果により躯体施工コストを低減できる。また、柱の構築時に合板型枠を使用しないため、森林資源の保護や産業廃棄物の低減にも寄与する。

4.技術の適用範囲等

 基本的に、純ラーメン構造の建物に適している。外殻プレキャストの量産効果、作業の効率化を発揮するためにはある程度の施工規模が必要であり、超高層住宅、大規模倉庫、商業施設等に適している。
 特に、サイクル施工が可能なRC造の超高層住宅に適している。
 適用実績 板橋一丁目地区超高層住棟建設工事