JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第3回国土技術開発賞

入賞(選考委員会委員長表彰)

ストランド場所打杭工法 (第3回国土技術開発賞 入賞)

ミッション建設コストを縮減する
応募技術名称ストランド場所打杭工法
副題SRD工法
応募者名東日本旅客鉄道(株)
大成建設(株)
技術開発者日本旅客鉄道(株) 石橋忠良
          野澤伸一郎
大成建設(株)   高瀬義行
          田中良弘
          田辺清
          渡邊昌次
          近藤昭二

技術の概要

1.技術開発の背景と目的

 近年、都市構造物の基礎杭を構築する際に、狭隘で上部空間の制約を受ける状況での場所打杭の工事が多くなっている。そこで、路下や駅構内などの作業で空頭制限を受ける基礎杭施工において、縦方向に継手を必要としないストランド鉄筋を用いて、施工性の改善、トータルコストの低減を図るために“ストランド(SRD)場所打杭工法”を開発した。

2.技術の内容

 ストランド場所打杭工法は、縦方向に継手のないストランド鉄筋を使用した場所打杭構築技術である。ストランド鉄筋は、素線を7本より合わせたもので、これを2〜3本束ねて主鉄筋として用いるものであり、可撓性と伸直性を有している。材料の強度としては、引張強度1,080N/mm2、降伏強度882N/mm2、以上を規定しており、耐震性にも優れており高強度場所打杭への適用も可能である。

 鉄筋建込みは、ロール状に巻きつけたストランド鉄筋を順次建込み装置に引き込み、鉄筋籠を連続形成させながら所定の位置に沈設する。鉄筋建込み装置は水平移動と高さ調整機能を有しており狭隘な場所での施工に適し、また鉄筋の建込み保持を確実にできることから作業性や安全性に優れている技術である。

3.技術の効果

 ストランド場所打杭工法は、狭隘で上部空間の制限を受ける基礎杭施工において、継手のない連続したストランド鉄筋を使用し、クレーン等の重機も必要としない工法であり、高品質な場所打杭を、より安全に短期間で施工を可能にした。

 本工法は、 [1] 継手のない引張強度の大きいストランド鉄筋及び高強度コンクリートを使用することで従来工法より杭径を小さくできること、 [2] 杭長25mを越える杭について主筋のジョイント作業が省略できることによる鉄筋の連続建込み時間の短縮、 [3] 継手材料の削除や鉄筋端部定着方法の簡素化、等により、トータル的に約20%の工期短縮と約10%のコストダウンが可能である。

4.技術の適用範囲等

 ストランド場所打杭工法は、路下や駅坑内などの作業で、空頭制限を受ける基礎杭施工において、高品質でトータルコスト低減を可能にしたことで高い評価をいただいている。

  1. 橋梁基礎のリニューアル工事への適用。
  2. 建築基礎のリニューアル工事への適用。
  3. 貯水池などの堆砂処理(貯水池の延命化)
  4. 適用実績 秋葉原駅改修他工事