JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第3回国土技術開発賞

入賞(選考委員会委員長表彰)

環境に優しい底泥処理システム (第3回国土技術開発賞 入賞)

ミッション優れた景観の創造や自然環境の保全、回復などに配慮する
応募技術名称環境に優しい底泥処理システム
副題水面下の大気圧工法
応募者名(株)大林組
技術開発者(株)大林組 佐々木 徹

技術の概要

1.技術開発の背景と目的

 河川や湖沼などに堆積している底泥の処理方法として、一般には浚渫によって底泥を掘削したり、覆砂や現位置でのセメント固化などによって封じ込めや環境浄化を行っている。

 しかし、環境や施工面で厳しい制約を受ける場所でこのような処理方法を適用した場合、大型施工機械の使用、搬入路の確保、浚渫土の処理・処分、臭気・水質汚濁・pHなどの環境問題が発生する。

 このような背景から当社では、厳しい施工条件下での底泥処理工法において、環境に与える負荷を低減しつつ改良効果が得られる工法として、従来陸上部で用いられている大気圧工法に着目し、改めて本工法の持つ特徴を生かすとともに、技術的な問題点を改善・改良し、水面下での適用・実用化を図る新しい工法の開発に取り組んだ。

2.技術の内容

 大気圧工法は、大気圧を利用して軟弱地盤の圧密促進や強度増加を図る工法として知られているが、実用的な地盤改良工法として広く普及するには至っていない。

 近年湖沼などの水際部における底泥処理が高まってきており、本工法の水面下への適用を図るため、気密シートの端部処理方法(気密シートで遮断工を併用)や水平排水材の仕様・構造を研究・開発することにより、改良対象範囲に遮断鋼矢板やサンドマットを用いないで、現位置で水面下に堆積している底泥を環境に優しく処理する(底泥の減容化および強度発現)技術である。

3.技術の効果

本工法は、浚渫や固化処理に替わる底泥処理工法として、真空圧を利用して池底に堆積している底泥を処理する工法である。本工法に使用する機械は簡易な真空設備が主体であるため、低振動・低騒音施工が可能であり、水質汚濁や臭気が発生しないことから、環境への負荷がほとんどない。また、現位置にて底泥を処理する技術であるため、浚渫土を処理・処分する必要がなく、自然・社会環境に適合している工法と評価することができる。

4.技術の適用範囲等

  1. 施工条件の厳しい場所における環境修復工事
  2. 水面下での軟弱土の減容化による受け入れ容量の確保
  3. 貯水池などの堆砂処理(貯水池の延命化)
  4. 汚染物質を含んだ底泥の封じ込め
  5. 浮泥の舞い上がりによる水質汚濁防止
  6. 適用実績 淀川左岸線基盤整備(その1)試験工事 他1件