JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第3回国土技術開発賞

最優秀賞(国土交通大臣表彰)

ICPブリース工法 (第3回国土技術開発賞 優秀賞)

ミッション維持管理の効率性、水準等の向上に寄与する
応募技術名称ICPブリース工法
副題蘇る下水道
応募者名(株)湘南合成樹脂製作所
技術開発者(株)湘南合成樹脂製作所 横島康弘

技術の概要

1.技術開発の背景と目的

 大わが国の下水道事業は建設途上にあるが、一方において経年管渠が毎年増加しており、この中には機能低下した老朽管渠が増えている。今までこのような老朽管渠は布設替えで施工されていたが、開削工法では種々の支障をきたしている。老朽管渠を再構築するのに開削工事を必要としない新工法を開発した。既設下水道管渠の内面被覆による防食と流化能力の回復、及び管渠の耐久性向上を図るライニング材料とその施工方法を開発しました。

2.技術の内容

 更生対象下水道本管及び取り付け管の内径にあわせ、筒状に加工した不織布の外側表面にポリエチレンーナイロン積層フィルムを貼り合わせ、その筒状の不織布に熱硬化性樹脂を含浸させる。本管更生の場合、既設人孔を利用して水圧及び空気圧で下水道管内に反転挿入する。反転挿入が完了後温水をシャワーし、熱硬化性樹脂を硬化させる。取り付け管の場合、既設本管内又は、既設の取り付け桝を利用して、空気圧で取り付け管内に反転挿入する。反転挿入が完了後、温水を注入して熱硬化性樹脂を硬化させる。このようにして既設の下水道管の中に本管と取り付け管が一体となった新しい管渠を形成する工法であります。又、マンホールライニングシステムとして、既設人孔の形状に合わせた不織布に熱硬化性樹脂を含浸したものを人孔内に挿入し、空気圧にて膨らませた後、温水シャワーにより熱硬化性樹脂を硬化させます。

3.技術の効果

 工期を考慮した場合、従来の開削工法では1スパン(φ250mm 50m)の施工日数は7日程度必要としていたものが、ICPブリース工法では1日で修復できる。水密性では従来管渠を接続しながら施工するためパッキンを必要としていたがICPブリース工法では接続部のないパイプを形成できるため、水密性は非常に高い。実証実験では0.098MPa(10kg/cm2)の内水圧に耐えうる結果が報告されている。工事の価格では、従来の開削工法に比較して、1/3〜1/2程度安価にて施工できます。マンホールライニングシステムを利用して人孔補修を行えば、従来必要とされていた大掛かりな仮設工も不必要であります。

4.技術の適用範囲等

施工実績からみると下水道本管補修ではφ200mm〜φ1500mm、管渠としての補修はφ75mm〜φ2000mmであり、その他にボックスカルバート補修 □540mm×760mm〜□1800mm×2000mm、マンホール補修 0号マンホール〜4号マンホールの実績があります。