JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第4回国土技術開発賞

入賞(選考委員会委員長表彰)

ロボQ (第4回国土技術開発賞 入賞)

応募技術名称ロボQ
副題住環境への影響を配慮した採土地の設計施工管理手法の開発
応募者名(株)フジタ
技術開発者(株)フジタ 茶山 和博
       藤岡 晃
       間野 実
       澄川 薫
       小幡 克実
       源 雅彦
共同開発者国土交通省九州地方整備局

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 土石流や崩落事故等での復旧作業は、被害の拡大を防止するために迅速な作業が必要とされるとともに、作業者の安全を確保する必要がある。しかし、遠隔操縦に対応した特殊な建設機械は数も少なく機種も大型のものが多いため、現地までの運搬および着工準備に時間が掛かかり、緊急時に迅速な対応ができないという問題がある。

 そこで、必要な時に、必要な場所で、汎用油圧ショベルに装着することで、復旧作業の安全性、迅速性を向上させるができるロボQ(遠隔操縦ロボット)を開発した。(図−1:イメージ図)

2.技術の内容

 システムの制御方法および内容について、下記に説明する。

  • 遠隔操作ユニットのジョイスティック等の制御インタフェースによる情報は、無線により油圧ショベル側の中央制御装置に伝送される。
  • 中央制御装置は、遠隔操作ユニットのジョイスティックの倒れ角に対応した運転席操作レバーの制御目標位置(運転席操縦レバーの倒れ角と倒れ方向)を計算する。その計算結果に基づき、空圧シリンダおよび空圧モータの制御目標位置を計算し、その制御目標位置データを空圧サーボバルブ制御装置に送る。
  • 空圧サーボバルブ制御装置は、空圧シリンダおよび空圧モータに内蔵された位置センサの値をフィードバックし、空圧シリンダおよび空圧モータが目標とする制御量に達するまでサーボバルブの開閉制御を行う。

3.技術の効果

 緊急災害復旧活動における、安全且つ迅速な対応のできる施工技術を研究・開発し、被害の拡大を最小限にとどめると同時に、地域住民の安全確保に貢献することを開発の目標とした。まさに遠隔操縦ロボットを装着した油圧ショベルによる遠隔作業性能は、それを十分に満足するものである。

 平均装着時間および着脱時間が、それぞれ64分と35分であり、作業性および操作性については、遠隔操作の場合、搭乗運転の1.5〜1.9倍程度の作業時間で遠隔操作を行うことができ、目標値を十分満足する結果が得られた。(表−1:装着・着脱時間)(表−2:作業時間)

 ロボQは、油圧ショベルの運転席を取り外した場所に固定し、無線(特定小電力無線局)により制御する。

 遠隔操縦可能な範囲は、300m程度である。搭載カメラの映像データを送信する手段として、SS無線による映像伝送装置を採用した。

 ロボQの4本の腕は、無線制御により運転室内の作業・走行レバーを、それぞれ独立して動かすことが可能である。全体を10ユニットに分割でき、貨物乗用車等で運搬することにより、安価で、且つ、短時間で現地への運搬が可能であり、汎用油圧ショベルに2〜3時間で装着することにより、災害復旧に対して迅速に対応することができる。

4.技術の適用範囲等

  • 土石流災害や崩落事故等における緊急的な災害復旧活動。
  • 恒久的な防災活動および長期的な防災工事。

5.技術の適用実績

  • 水無川(赤松谷1工区)地区火山地域総合治山工事(2000年2月〜2000年3月)
  • 平成12年度河災調単別委第1−9号管理業務(2000年5月〜2000年6月)
  • 木更津市請西第三特定土地区画整理事業(2001年1月〜2001年3月)
  • 赤松谷川2号砂防堰堤一期工事(2002年1月〜2002年3月)