JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第4回国土技術開発賞

入賞(選考委員会委員長表彰)

3次元GISによる精密施工法 (第4回国土技術開発賞 入賞)

応募技術名称3次元GISによる精密施工法
副題住環境への影響を配慮した採土地の設計施工管理手法の開発
応募者名(株)間組
(株)ジオスケープ
技術開発者(株)間組     大前 延夫
(株)ジオスケープ 須田 清隆
共同開発者京都大学 建山 和由

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 津名東生産団地造成事業は、約4、300万?の土砂供給を行う大規模な採土現場であり(写真1)、跡地は職住近接・環境創造型自立都市としての利用が計画されている(図1)。

 近年の建設事業にとっては、建設CALSの実現と環境対策が大きな課題となっており、構造物のライフサイクル全般(調査、計画、設計、施工、維持管理)にわたる多様な情報を収集し利用するための環境を整備する必要があるが、対象となる構造物は3次元形状を有しており、地質等の設計情報と併せて正確かつ効率的に利用するためには情報を空間情報として扱う必要がある。こうした情勢の中で、環境面からの計画変更に迅速に対応しつつ安定した土砂供給を確保するとともに周辺環境への影響低減、地球環境への負荷軽減を目的として3次元情報を効率的に活用できるしくみを確立した。

2.技術の内容

 採土地を現場での施工の最小管理単位である10m立方体の情報ユニットに置き換え(図2機能1)、施工工程に対応させてそのユニットごとに地質情報や重機情報等を入力・更新し、綿密な情報管理を行った上で(図2機能2)、切土場の選定、重機の配置、火薬の使用量や削孔パターンの決定及びベルトコンベアの稼働等の諸工程において最適化を図ることにより各施工プロセスの向上を実現していく(図2機能3)といった機能を有している(図3〜4)。

 また、採土計画(図5)・施工出来形(図6)は3次元情報で管理され、周辺住環境に対する景観的な影響評価に利用するとともに計画の変更や工事の進捗に併せた現況地形情報の更新に迅速な対応が可能となっている。

3.技術の効果

 周辺からの景観環境の影響を評価しながら計画管理が可能であったとともに、振動・騒音といった周辺への環境圧を最低限に押えるような施工計画が可能であった。また、1日当りの出荷量が26%増加したのと同時に、重機の無駄な稼働が減少し掘削効率を37%向上させることに成功した。さらに、重機の燃料消費量や設備の電力消費量、発破に使用する火薬量の低減を図り、その結果排出されるCO2量を従来工法に比して26%削減した。

4.技術の適用範囲等

  • 各種大規模土工事
  • 都市再生事業や都市防災事

5.技術の適用実績

津名東生産団地造成事業(1993年4月1日〜現在) 他2件