JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第14回国土技術開発賞

最優秀賞(国土交通大臣表彰)

URUP工法 (第14回国土技術開発賞 最優秀賞)

応募技術名称URUP工法
副題地上発進・地上到達のシールド工法
応募者名(株)大林組
技術開発者〔(株)大林組〕 三木 慶造・井澤 昌佳

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

都市圏の多くの交差点では、慢性的な交通渋滞による、時間的損失や周辺環境の悪化を防止するために立体交差化事業が計画されている。しかし、従来のアンダーパス施工法では、道路を切り回し、道路占有しながら、大型の工事機械により施工するため、工事に伴って発生する交通渋滞や騒音・振動により周辺環境を悪化させる問題がある。そこで、工事中の交通渋滞や周辺環境の悪化を招かないアンダーパス施工法が望まれた。

2.技術の内容

URUP工法は図−1に示すように、交差点や踏切などに対して、立坑を構築することなくシールド機を地上から発進してそのまま小土被り掘進を行い、再び地上に到達させることでアンダーパスを構築する非開削トンネル構築工法である。開削工法やトンネル部両側に立坑の構築が必要な従来の非開削工法と比較して大幅に工期を短縮し、工事期間中の騒音・振動などによる周辺環境への影響を抑制する。

3.技術の効果

【工期短縮】立坑を省略し、地上発進→アプローチ区間の掘進→トンネル区間の掘進→アプローチ区間の掘進→地上到達の一連の工程で施工することにより、工期を短縮できる。

【コストダウン】立坑の構築や、発進・到達防護工の費用が不要となることによりコストダウンできる。

【周辺環境への配慮】杭打機などの大型工事機械の使用を抑制することで騒音振動などの低減、工事に伴う交通渋滞の発生の防止、開削工法と比較して発生土や埋戻土などの運搬に用いる工事車両台数低減によるCO2排出量の低減等が図れる。

【周辺地盤変状の防止】アプローチ部の側部地盤変状を防止し、掘削箇所の側部を車両が通行できる。また、トンネル区間では、小土被りで上部地盤の変状を防止し、道路や線路との交差部を掘進できる。

4.技術の適用範囲

  • 道路、鉄道、河川、海などに対するアンダーパス施工
  • 小土被り下でのトンネル施工
  • 適用土質はシールド工法で対応できる地盤はすべて
  • 掘削外径や形状(円形、矩形)の制約なし
  • 施工延長はシールド工法で対応できる範囲(ビット交換技術の併用で長距離施工可能)

5.技術の適用実績

中央環状品川線大井地区トンネル工事、平成20年6月〜平成24年1月 他2件

写真・図・表

  • 図−1 URUP工法概要図 
  • 図―2 URUP工法実証実験概要図

写真―1 URUP工法実証実験機

写真―2 URUP工法実証実験状況

  • 図−3 中央環状品川線大井地区トンネル工事完成予想図
  • 写真−4 URUPシールド機
  • 写真−5 URUPシールド機地上発進状況
  • 写真−6 URUPシールド機地上到達状況