JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第17回国土技術開発賞

地域貢献技術賞

大型土のう作成補助器具(第17回国土技術開発賞 地域貢献技術賞)

応募技術名称大型土のう作成補助器具
副題「トンサポ」
応募者名(株)YPSテック
技術開発者(株)YPSテック 山田英晴・山田英人

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 建設業においては、建設業の人材不足加えて労働単価の上昇や社会インフラメンテナンス費用の増加、建設資材の高騰、2011 年東日本大震災の復旧工事など建設業において多岐な問題がある。 大型土のうは、材質、仕様は完成されているが作成方法に関しては人力に依存しているのが現状である。

 株式会社YPS テックでは、長年培ってきた金属に関する技術、ノウハウ、理論をもとに現場目線で仮設工事の工期、安全性、コスト、人材不足解消を目的に開発したことが契機です。

2.技術の内容

 従来工法(単管工法)では、単管で枠を組み、大型土のうを作成する工法が一般的でした。土砂の比重により土のう袋底部が広がるため、単管が引っ掛かり、バックホウの下での作業が発生し、結果として効率面、安全面の低下を招いていた。「トンサポ」の特徴は、本体台形型部分(2分割方式)の補助器具を使用することにより、側面より大型土のう袋を取り出せることです。その結果、大型土のうを吊り上げ作業なしで作成することができ、作業者の人員削減、安全性の向上が可能になります。

3.技術の効果

大型土のう作成補助器具「トンサポ」は、従来工法(単管工法)に比べ、以下の効果がある
【安全性】 重機の下に作業員が入る危険性なし。
【携帯性】 組立不要。約40kg と軽量設計。女性作業員や新人作業員でも簡単にできます。
【コスト削減】 人員削減や工期短縮、重機等の経費削減が可能。
【多様性】 土木事業だけでなく、産廃、建築、除染等多岐の用途で使用可能。
適応現場
・河川、道路、海岸など被災箇所の大型土のうによる応急対応工事
・河川、道路、海岸における護岸や法面の保護や締切などの仮設工事
適応袋範囲
・土のう袋は市販品(φ 1100 × H1100)程度の全メーカーに適応可能)
適用できない範囲
・100u以上の作業スペース(0.80㎥バックホウ使用時)が確保できない

4.技術の適用範囲

青野建設株式会社 平成26 年度河川改修工事(県単)大岡川その1 他180 件

5.技術の適用実績

 福島第一原発の事故に伴う除染での使用において、除染廃棄物、除染土砂を大型土のう袋に投入し保管している。福島県の株式会社環境システムヤマノ様にご協力頂き、除染作業における大型土のう作成補助器具「トンサポ」を使用し、以下の結果を得た。
・通常3人の作業の所、2人もしくは1人の作業員での作業が可能になり、大幅なコスト削減が可能。
・作業員の削減と投入時に作業員が離れた場所で作業ができ、低量被ばくの可能性が大幅に改善した。
・作業時、バックホウの周辺にいない為安全性が大幅に向上した。
・単管工法、他者類似品に比べ効率が向上し、人員削減が可能になった。また、初期投資も圧縮できた。

写真・図・表