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助成・表彰・審査制度 / 国土技術開発賞

    • 第15回国土技術開発賞

最優秀賞(国土交通大臣表彰)

ソイルセパレータ・マルチ工法 (第15回国土技術開発賞 最優秀賞)

応募技術名称ソイルセパレータ・マルチ工法
副題浚渫土砂などの分級処理による高品質な土砂の抽出と有効利用
応募者名東亜建設工業(株)
技術開発者〔東亜建設工業(株)〕 御手洗 義夫・泉 信也

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

近年、航路や泊地の維持や増深で発生する浚渫土砂の処分地は容量が逼迫しており、その有効利用や減容化が求められている。本技術は、砂質系の浚渫土砂を粒径ごとに分級し、良質の砂礫やシルトを取り出して有効利用する方法として開発した工法である。また、2011年3月11日の東日本大震災では、津波によって大量の土砂が海から運ばれ、がれきやごみと混在して陸域で津波堆積物となって残された。その処理と被災地の復興資材の確保を目的として、本技術を改良し、現地実証実験を行った。その結果、ごみやがれき類をほぼ完全に分別・除去し、復興資材として、高品質で多用途な土質材料を得る技術として確立することができた。

2.技術の内容

本技術は、砂質土が主体の浚渫土砂や津波堆積物に加水して、遠心分離装置と振動ふるいを組み合わせた「ソイルセパレータ・マルチ工法」を用いることで、ごみやがれきなどを分別し、粒径ごとに土砂を分級する工法である。最終的に残された粘土分を含んだ泥水は凝集沈殿および脱水処理を行う。分級処理では、シルト分も分級・抽出するために泥水処理量が軽減される。また、加水用の水は、脱水処理後の水を循環・再利用するため、余水処理量も大幅に低減できる。凝集沈殿物(凝集フロック)の処理は、機械脱水や自重脱水による減容化、または簡易脱水してセメント固化処理を行うなど、コストやその後の処理、再利用の目的や用途によって選択できる。例えば、津波堆積物の処理では、簡易脱水を行い、体積の減少を極力抑制し、固化処理により多くの盛土材などに有効利用できる(図-1)。

3.技術の効果

1) 分級処理した砂礫やシルトは粘土分を殆ど含まないため、高品質で多用途な建設用資材として有効利用が可能となる。特に、東北地方においては不足している良質で高品質な復興資材となる(図-2、図-3、写真-1)。

2) 浚渫土砂の処理においては、凝集フロックを脱水処理により減容化し、最終処分量を低減でき処分場を延命化させることに繋がる(浚渫土砂の減容化と処分場容量の確保と延命化)。

3) 津波堆積物のケースでは、凝集フロックは簡易脱水として体積の減少を最低限に抑え、固化処理することで、盛土材などの復興資材として有効利用可能な土量をより多く確保できる(表-1)。

4) 分別されたがれき・ごみは、処理過程で加水により土砂が洗浄・除去され、その後の分別処理が容易となり、がれき・ごみの更なる減容化につながる。

4.技術の適用範囲

@ 河川、港湾などの砂質系浚渫土砂(細粒分含有率40%程度以下が適用の目安)

A 津波堆積物(土砂部分の粒度は同上が目安、がれきやごみの混入率は25%〜40%程度が適用の目安)

 上記の“適用の目安”から外れた場合、施工能率が低下しコストが高くなるが、処理不能ではない。また、加水・解泥の困難な、固結または粘りの強い土砂は対象外となる。

5.技術の適用実績

平成23年度 中津港(田尻地区)航路(-12m)浚渫 [暫定-11m]工事、平成23年8月〜平成23年10月
他、実証実験工事1件

写真・図・表

図−1 ソイルセパレータ・マルチ工法による処理フロー例(津波堆積物処理の場合)

  • 図−2 処理前後の粒径加積曲線 (事例1:浚渫土砂の処理)
  • 表−1 処理前後の土量収支(事例2:津波堆積物の処理)
  • 図−3 処理前後の粒径加積曲線 (事例2:津波堆積物の処理)
  • 写真−1 処理後の分級砂(事例2:津波堆積物の処理)