受賞技術概要
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第6回国土技術開発賞
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- 第6回国土技術開発賞
入賞(選考委員会委員長表彰)
ソイルセパレータ工法 (第6回国土技術開発賞 入賞)
応募技術名称 | ソイルセパレータ工法 |
副題 | 建設発生土の大容量分級処理技術 |
応募者名 | 東亜建設工業(株) |
技術開発者 | 東亜建設工業(株) 岡田哲一 加藤謙 薄井治利 峯吉武志 |
共同開発者 | 信幸建設(株) 田中泰弘 小山靖彦 |
技術の概要
1.技術開発の背景及び契機
浚渫土砂に代表される大量の建設発生土は、土砂処分場にて処理されるケースが多い。しかし、近年、土砂処分場の残余容量の減少や環境負荷の低減等の観点から、建設発生土に含まれる砂を抽出してリサイクルしようとする社会的要請が高まっている。
土砂を砂分とシルト・粘土分に分離(分級)する技術は数種類既存しているが、大量な建設発生土に対応できるような大能力のものはないため、プラントの占有面積が広くなり経済的にも問題があった。そこで、港湾、河川、湖沼、ダム等から発生する大量の建設発生土を、盛土や養浜などの建設材料としてリサイクルするため、大容量の処理能力を持つ連続分級処理システムを開発することとした。
2.技術の内容
ソイルセパレータ工法は図−1及び図−2に示すように、建設発生土に加水して泥水化した後、遠心分離装置の一種であるソイルセパレータによって砂分泥水とシルト・粘土分泥水とに分級し、そのうちの砂分泥水を脱水ベルトコンベアによって2次脱水して砂を取り出す連続処理システムである。
従来の分級技術では連続的に大量の建設発生土を処理することは困難であったが、最大クラスのソイルセパレータは1時間当りの泥水処理量が最大約3,000m3と従来工法の10倍以上の泥水処理能力を持つ。さらに、分級・脱水された砂は、シルト・粘土分が15%以下、含水比が25%程度と高品質であり、直ちに積込・運搬して有効利用することが可能である。また、分級・脱水設備は小型で効率良く連続処理するため、分級砂1m3当りの処理コストは購入砂と同程度に抑えられる。
3.技術の効果
平成14年度、関門航路の浚渫土砂を砂分とシルト・粘土分に分ける大型分級工事が世界で初めて実施され、ソイルセパレータ工法が適用された。約30万m3の浚渫土砂を最大クラスのソイルセパレータ2基によって分級処理した結果、浚渫土砂から約20万m3の砂を取り出し、覆土材として有効利用することができた。同時に、土砂処分場で処分する土量を減容化し、処分場の延命化に貢献することができた。分級された砂はシルト・粘土分含有率が2.0%、含水比が26.3%と高品質なものとなり、浚渫土砂に含まれる砂分のうち91.2%を分級砂として再利用することができた。また、浚渫土砂から砂を取り出すコストは、購入砂費用と同程度に抑えることができた。
4.技術の適用範囲等
土質の適用範囲:砂分含有率60%以上の建設発生土に適用するのが望ましい。
分級砂の利用目的:盛土材、養浜材、覆砂材、人工干潟材、地盤改良材等として利用可能。
5.技術の適用実績
関門航路(中央水道地区)航路(-14m)浚渫[水深-10.5m]外1件工事
平成14年10月〜平成15年3月 他3件