JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第6回国土技術開発賞

入賞(選考委員会委員長表彰)

煙突除染技術 (第6回国土技術開発賞 入賞)

応募技術名称煙突除染技術
副題煙突除染ロボット「ペンタクロース」による無人化工法
応募者名五洋建設(株)
技術開発者五洋建設(株) 谷雄一
共同開発者(株)三井三池製作所 杉野孝行

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 近年、ダイオキシン類による大気汚染・土壌・水環境の汚染問題が発覚し大きな社会問題となっていることからダイオキシン類に関する規制強化が図られた。この規制強化の結果、発生源からダイオキシン類削減が進められてきた。一方、規制を満たさない廃棄物焼却施設は休廃止されることとなった。

 こうした状況の中、大阪府内の一般廃棄物焼却施設の解体工事において労働者のダイオキシン類ばく露事故が発生した。この事故を契機に、廃棄物焼却施設の解体工事おいては、汚染物の解体前の除去(以下、除染)、ダイオキシン類対策の措置が必要となった。

 以上述べた背景により、ダイオキシン類に汚染されている施設の解体は、従来方法では困難となっている。その中でも、煙突においては、その内部は高濃度ダイオキシン類に汚染されている狭隘空間かつ高所での作業となるため人力で除染・煉瓦解体撤去作業をする際、労働者はダイオキシン類ばく露や高所からの墜落などの危険に曝されることとなる。

 そこで、当社は廃棄物焼却施設解体における環境汚染がなく、労働者に安全な施工方法の開発に取り組み、その一環として、煙突の除染に関する技術開発を行った。

2.技術の内容

 煙突除染無人化工法は、新しく開発した煙突除染ロボット「ペンタクロース」(写真1参照)を用いて、「廃棄物焼却施設内作業におけるダイオキシン類ばく露防止対策要綱」に定められている煙突内の除染作業や鉄筋コンクリート製の煙突内部に設置されている耐火煉瓦の解体撤去作業を無人で行うことができる。RC煙突の施工フローを図1、施工形式概念図を図2に示す。また操作室を写真2に示す。その他の機能として除染装置を写真3、煉瓦解体装置を写真4に示す。

3.技術の効果

 煙突内作業を無人化することにより飛躍的に安全性・煉瓦解体能率が向上した。その他解体廃棄物の分別とともに有害廃棄物の減量化を図った。 

4.技術の適用範囲等

適用煙突構造:鉄筋コンクリート造煙突(内部耐火煉瓦積、外部鉄筋コンクリート製)混合構造煙突(内筒:鋼製、外筒:鉄筋コンクリート製)、鋼製煙突
適用煙突口径:800〜3500mm
適用煙突高さ:60m以下

5.技術の適用実績

 八街市クリーンセンター解体工事、平成15年1月〜平成15年7月   他6件
(適用期間 平成15年4月)