JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第7回国土技術開発賞

入賞(選考委員会委員長表彰)

関西国際空港用地造成転圧締固めシステム (第7回国土技術開発賞 入賞)

応募技術名称関西国際空港用地造成転圧締固めシステム
副題「より早く、より安く、より良い」転圧締固めシステムの開発
応募者名関西国際空港用地造成(株)
技術開発者関西国際空港用地造成(株) 田端竹千穗
              坂井 彰
東洋建設(株)       吉野洋一
前田建設工業(株)     角渕俊太
東亜建設工業(株)     山根信幸
五洋建設(株)       西山泰弘
共同開発者東洋建設(株)
前田建設工業(株)
東亜建設工業(株)
五洋建設(株)

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 関西国際空港では、増加し続ける航空需要に対応するため現1期空港島の沖側に約540haの用地を新たに造成し、4000mの滑走路及び関連施設を整備する2期事業を進めている。2期空港島は1期空港島の1.5倍もの沈下量が予測されており、均質な地盤を造成し不同沈下を抑制することが空港の安定した運用に必要不可欠である。また、2007年の供用開始を目指し急速施工が求められている一方、事業費については用地造成事業だけでも総額約1兆円に達し、その縮減が求められている。

 このような背景のもと、埋立の最終段階である間接揚土工事において大量の最大粒径300mmの材料を効率的に締固め、強固で均質な地盤を急速に、しかも建設コストを安く造成することを可能にするシステムを開発することとした。

2.技術の内容

 本システムは、迅速かつ確実に高品質の埋立地盤の造成にあたり、材料管理、施工、施工データの取得・解析、出来形・品質管理等の各システムを現場に適合するように改良・開発を行い、これらのシステムのフロー化をおこない、日々の情報を施工者、発注者が共有することができるような統合システムである。

 本システムの要素技術の内容は以下の通りである。

 「含水比の調整」は、揚土船の散水設備を改良し、埋立材料の含水比を調整管理できるようにした。

 「面的な出来形管理」は、移動しながら地盤高を効率よく測定できるバギー車と、加速度計及びGPSシステムを搭載した振動ローラにて地盤の品質の面的管理を行った。さらに、これにより得られた大量のデータをリアルタイムで処理・管理するシステムを構築したことで、出来形や品質の異常点や不良点を迅速かつ容易に発見することができ、品質の高い用地造成を効率的に行うことが可能となった。

 これらの要素技術を実施工の作業フローの中に取り入れ、情報を共有するシステムを開発することにより統合システムを確立した。

3.技術の効果

 本システムの構築・運用により大量の粗粒材料を、急速かつ効率的に転圧締固めができ、不同沈下を抑制し滑走路等舗装の路床として利用可能な、均質で高い品質の地盤を造成することができた。さらに、工事コストの縮減、施工の省力化や安全な施工が図られた。

4.技術の適用範囲等

  • 大量急速施工が必要不可欠な場合
  • 空港用地など施工区域が比較的広い場合
  • 沈下性の地盤での施工

5.技術の適用実績

2期空港島埋立工事(二次揚土その1)、平成15年9月から平成17年3月 他2件