• JICEについて
  • 調査報告・研究成果
  • 助成・表彰・審査制度
  • 技術資料・ソフトウェア
  • 国土を知る

JICEについて / 役割


国土交通行政を補完する政策提言集団

 少子高齢化の進展や人口減少社会の到来をはじめとして、わが国の社会の基本的な枠組みが大きく変化している一方で、国際競争力の強化や都市・地域の活力の維持・向上等、国民に対する質の高いサービスの提供に関する要請はますます増大しています。また、国民の生命・財産を守るため、自然災害に対する対応も急務となっています。

このように国土の整備・保全等にかかる課題が複雑化・高度化する一方で、行政のスリム化が求められており、国民に対する国土交通行政のサービス水準を低下させないために、JICEには国土交通行政の根幹となる技術行政を補完できる機能が求められています。

そこで、JICEは、わが国の社会の変化、将来の国土の姿を的確に見据え、国土交通行政の基盤となる重要な課題に対して、総合力や継続力、企画提案力を最大限に発揮し、的確な調査・研究と政策提言を行うとともに、国民にわかりやすく情報発信を行うことにより、社会の要請と信頼に応えていきます。

 JICEの自主財源を活用して運営するJICE内研究所です。平成21年6月1日に創設しました。これまでのJICEの調査研究成果や国内外の社会経済動向等を踏まえながら、社会資本整備に関する総合的な調査研究の推進と情報発信を行うとともに、10年後・20年後の我が国の社会、国民生活を見据え、多角的な角度から、国土づくりや社会資本整備のあり方に関する政策提言等を行います。
 「河川政策グループ」、「道路政策グループ」、「都市・住宅・地域政策グループ」、「技術・調達政策グループ」の4政策グループが主体となって、国土交通行政のニーズや問題意識を正確に把握した施策の立案、政策評価や時代の変化等を踏まえた法令・技術基準等の改訂案の作成など、実効的な政策提言を積極的に行います。

 各政策グループの下に「プロジェクトチーム」を編成し、技術者が部・政策グループの垣根を越えて連携することで総合的な技術力を発揮し、質の高い調査研究成果を提供します。また、専門分野のプロパー技術者が継続的に調査研究に参画することにより、技術的な知見を継承するとともに、それらを背景に新たな調査研究に積極的に挑みます。

JICEの行政補完機能

 公務員制度改革等が行われている我が国では、図-1に示すように国家公務員の定数が減少しています。一方、様々な事柄が相互に関連して課題が複雑化、高度化する社会の中で、行政は、国民に対して提供するサービスの水準を向上させることが求められています。このようなことから、図-2に示すように、国家公務員の超過勤務時間は、近年、長くなってきています。

 このような状況の中で、国土交通省は、国民の期待に応えるための技術力を有しているものの、過去のように個別の案件について十分な時間を割けるような状態にはなっていません。

 そこで、国民の方々に対する国土交通行政のサービス水準を低下させないために、私ども一般財団法人 国土技術研究センター(Japan Institute of Country-ology and Engineering以下では、JICEと呼びます。)には、国土交通行政の根幹となる技術行政を補完できる機能が求められています。

 JICEは、公益法人として、我が国の建設技術や国土交通行政の発展に寄与するための情報の発信等を行うとともに、体系的に蓄積等を行っているノウハウや情報を最大限に活かした調査・研究を行うことによって、国民生活や国民に対するサービス水準を向上させるための中長期的な政策課題に対応する有益な成果をあげ、産・学・官より高い信頼を得ています。

 JICEの調査・研究活動は、国土交通行政のニーズや問題意識を正確に把握した施策立案や技術基準等の策定、政策評価や時代の変化等を踏まえた法令・基準等の改訂案の作成など、他の機関や民間コンサルタントでは十分な成果をあげられない国土交通行政の技術基盤形成に資する重要な課題を中心に実施しており、その成果は国土交通行政の円滑な推進に寄与しています。


調査・研究成果は施策立案や法令・技術基準等に直結

 JICEは、過去のデータ蓄積や技術力、ノウハウを基盤として、行政に成り代わって重要な技術的事項に関する調査・研究を継続的に行い、成果を取りまとめています。それらの調査・研究成果は、法令の改正や施策立案の基礎資料となったり、技術基準等として通達等になっています。

(1) 国土交通省が施策立案に活用

 JICE調査・研究成果の普及や施策の活用等を目的に、JICEにおいて手引きや刊行物等を発行しています。このような事例として次のものがあります。
事例1. 建設生産システムの改善に関する行政支援
  • 「国土交通省直轄事業の建設生産システムにおける発注者責任に関する懇談会」において建設生産システムの改善策の立案、「公共工事における総合評価方式活用検討委員会」において総合評価方式の検討等の支援を実施しています。 また、具体的な大規模工事発注に際し、業者選定プロセスでの各入札参加企業からの技術提案資料の整理など実務的な発注者支援も実施しています。
事例2. 審議会等(国土審議会・中央防災会議等)における成果の活用
  • 審議会等の議論のなかで、JICEの調査・研究成果が単なるデータの提供ではなく、議論を方向づけるための資料として活用されています。このような事例として次のものがあります。

 ーー 国土審議会
   「地域特性に応じた持続可能な土地利用・管理のあり方検討調査」において新しい長期宅地需要推計方法の検討を行い、同審議会の議論の参考にされています。

 ーー 国土審議会計画部会
  現在、同審議会では「全国総合開発計画」に替わる「国土形成計画」の策定の議論が行われていますが、「二層の広域圏の形成に資する総合的な交通体系に関する検討調査」結果は、この議論のバックデータとして活用されています。

 ーー 中央防災会議大規模水害専門調査会
  同調査会の首都圏における大規模水害時の危機管理行動計画に関する議論のなかで、JICEの調査成果が議論のバックデータとして使われています。

(2) 法令や技術基準等

 JICEの調査・研究成果を基に法令や技術基準の原案等が作成され、法令や技術基準等として発布されています。このような事例として次のものがあります。
事例1. 道路構造令の解説と運用(法令)
  • JICE が継続的に道路構造令の策定作業の補助や実態調査を実施してきましたが、近年の地域ニーズに対応した改正として、分離片側1車線の高速道路構造や小型道路(乗用車専用道路)に関する基準が整備されています。
事例2. 密集市街地法改正に基づく省令改正(法令)
  • 平成18年度に実施した「安全で快適な居住環境を有するまちづくりのための迅速な隘路打開方策検討調査」は密集市街地法改正に基づく省令改正のための調査で、学識経験者による複数の委員会の調整をとりながら基準案を策定しました。
事例3. 河川維持管理基準(基準)
  • これまで国土交通省の出先の河川事務所の個々の判断で行われていた日常の河川施設の維持管理に関する手法や観点を再整理し、維持管理技術を初めて標準化しました。
事例4. 道路通信標準(基準)
  • ITSを支える共通基盤の1つとして道路通信標準があり、その中で各種通信規約(プロトコル、データディクショナリ、メッセージセット等)が規定されています。JICEでは、新規アプリケーション等に対応した各種規約の改訂を継続的に行っています。
事例5. 路上自転車・自動二輪車等設置指針(基準)
  • JICEでは自転車利用環境整備に関する調査研究を継続して実施しており、その研究成果は「路上自転車・自動二輪車等設置指針」(平成18年11月国土交通省道路局)として取りまとめました。
事例6. 路外駐車場の構造及び設備基準及び標準駐車場条例の作成(基準)
  • 四輪車に自動二輪車を追加した駐車場法の改正により、自動二輪車用駐車施設の附置義務が求められ、また、自動二輪車用駐車場の構造や設備等に関する技術基準が必要となりました。そこで、JICEでは技術基準の検討を行うとともに、地方公共団体が作成する付置義務駐車場の標準条例(条例の雛形)についてとりまとめを行いました。
事例7. 河川堤防設計指針(通達)
  • これまで形状規定のみであった堤防の設計基準に、耐浸透、耐洗掘の両面から性能照査の概念を導入したものです。JICEはこの手法確立に関する検討を行うとともに、詳細な計算手法を示す参考図書として「河川堤防構造検討の手引き」を作成しています。
事例8. 河川構造物耐震性能照査指針(通達)
  • 堤防(自立堤含む)、水門・樋門・堰、排水機場について、レベル2地震動までを対象とした耐震性能照査手法が標準化されたが、JICEはこの手法確立に関する検討を行うとともに、照査の判断基準となる河川水位の算定手法についても標準化を行いました。
事例9. 道路局長通知「道路法第46条第3項に基づく危険物積載車両の通行制限について」(通知)
  • 水素を燃料とする自動車を輸送する車両のトンネル通行制限を緩和することを目的としたもので、道路管理者に燃料電池自動車に関する技術的知見がないため、JICEが関係組織の意見調整を行い、技術検討を実施した結果、実現しました。
事例10. 防災街区整備地区計画作成技術指針(通達)
  • 密集市街地整備法の改正により、市町村は火災被害の軽減を目的に「防災街区整備地区計画」を定めることができることになりました。JICEでは、この地区計画が必要な条件を満たして都市計画決定されることを支援するために、計画作成の技術指針の検討を行いました。この技術指針は国土交通省から市町村に対して通知されています。

(3) 手引きや刊行物等として技術の標準化と普及促進

 調査・研究成果の普及や施策の活用等を目的に、JICEにおいて手引きや刊行物等を発行しています。このような事例として次のものがあります。
事例1. 中小河川における堤防点検・対策の手引き(案)
  • 国土交通省治水課が策定した「中小河川における堤防点検・対策ガイドライン(案)」の参考図書としてJICEが独自にとりまとめた技術資料です。
事例2. 柔構造樋門設計の手引き
  • 構造面で基礎による支持なしに地盤の変動に追随するタイプの樋門に関する設計の参考図書です。平成11年度から全国の樋門が「柔構造原則」となっています。
事例3. 護岸の力学設計法
  • これまで経験に頼っていた護岸設計において、流体力がもたらす揚力と護岸重量との関係などを定量的に明らかにし、定量的設計論の概念を導入したものです。全国の護岸設計の基本的な参考図書となっています。
事例4. 道路の移動円滑化ガイドライン
  • 「移動円滑化のために必要な道路の構造に関する基準」の解説書として刊行しています。
事例5. 町家等再生・活用ガイドライン
  • 町家等伝統的建築物の再生・活用が、都市再生の観点から重視されましたが、建築基準法適合上の課題があり、適切な改修等が困難でした。そのため、「都市における京町家等伝統的工法による建築物再生検討にかかる計画手法調査」が実施され、その成果は本ガイドラインとして取りまとめられ、平成16年12月、国土交通省から報道発表されました。
事例6. 地震危険度マップ作成マニュアル
  • 過去の総合技術開発プロジェクトの実施によりJICEに研究蓄積があり、都市防災上の危険度把握について、町丁目を対象に街区単位で危険性を示す方法を考案し、これを国土交通省都市防災対策室所管の災害危険度判定調査の指針類として整備しました。
事例7. 木歩道橋設計・施工に関する技術資料
  • 木歩道橋はコンクリート橋や鋼橋に比べ高価となるため、この技術資料を参考にあらかじめ概略設計を行い、木橋に期待される効果に見合うかどうか行政が判断する資料となるものです。
事例8. 工事監督・検査ハンドブック、劣化事例集、単位水量測定要領等
  • 平成11年のコンクリート構造物の破片落下問題を契機に、国直轄の土木工事コンクリート構造物の品質向上を図るため、「土木コンクリート構造物耐久性向上WG」の成果をハンドブックとして取りまとめました。

行政とともに検討することにより施策を立案

 JICEは、施策の立案や計画策定に関する調査・研究から、施策の実施を支援するツールの提供、政策評価とそれを踏まえた改善策に関する調査・研究に至るまで、行政とともに検討を実施し、国または地方ブロックにおける施策立案を支援することによって国土交通行政の質的向上に寄与しています。このような事例として次のものがあります。

事例1. 建設生産システムの改善に関する行政支援
  • 国土交通省では昭和55年以来、総合的な治水対策を実施していますが、JICEでは「行政機関が行う政策の評価に関する法律」に基づき、平成15年に総合的評価を実施しました。
  • 一方、都市部では河道拡幅や堤防嵩上げなどの対策は困難であることから、河川管理者、下水道事業者及び流域内関係自治体が共同で流域水害対策計画を策定し、水害被害を防止・軽減する「特定都市河川水害対策特別措置法」が制定されました。JICEではこれに関連して、「解説・特定都市河川浸水被害対策法施行に関するガイドライン」の編著、雨水貯留浸透施設が技術的基準を満足するか否かの確認できる「調整池容量計算システム」の作成・公開等を行い、都市河川における浸水対策に寄与しています。
事例2. バリアフリー、ユニバーサルデザインの推進
  • 不特定多数が利用する建築物におけるユニバーサルデザインの推進を目的としたハートビル法(平成6年)や、公共交通機関を利用した移動の利便性・安全性の向上を目的とした交通バリアフリー法(平成12年)を受けて、JICE ではバリアフリーに関する構造基準や諸ガイドラインに係る検討、バリアフリー化状況の調査等を実施してきました。
  • 平成18年に交通バリアフリー法とハートビル法を統合したバリアフリー新法が制定されたことを受けて、JICEでは新しい技術基準等の検討を行いました。
  • 建築分野では、障害者団体の意見や学識経験者による委員会により高齢者・障害者等の利用を配慮した建築設計標準の改訂を実施しました。
  • 道路分野では、バリアフリーの道路構造基準として有識者、関係団体、福祉関連に携わる専門家、行政担当者等からなる懇談会の成果をもとに「歩道の一般的構造に関する基準」が取りまとめられ、国の基準として全国に周知されています。
事例3. くらしのみちゾーン推進
  • 国土交通省道路局では平成14年度から、くらしのみちゾーン施策を推進していますが、JICEではその施策立案当初から施策推進に深く関与しています。
  • 例えば、有識者による歩行者・自転車優先施策アドバイザー会議、くらしのみちゾーン関係者による交流連絡会議、現地でのワークショップや視察を通じて多くの知見やノウハウを蓄積しており、施策の推進、地区の拡大に寄与しています。
事例4. 一般国道の直轄管理区間の指定基準
  • 直轄国道の指定区間基準については、「道路法施行規則」及び「直轄管理区間の指定基準に関する答申」(平成11年7月道路審議会)で規定されていますが、JICEでは上記答申の素案策定時より一貫して関与しており、現在も指定区間ネットワークの見直し作業に従事しています。
事例5. まちづくり交付金の事業評価制度の構築
  • 平成16年度のまちづくり交付金制度創設にあたり、学識経験者等からなる委員会(黒川和美 法政大学教授・JICE非常勤理事)の助言を受けながら、事前評価手法の検討をJICEが行いました。
  • 引き続き、平成17年度より事後評価手法についても制度設計の検討を開始、一部市町村の協力を得て事後評価を試行しながら制度として確立しました。
  • 事前評価から事後評価まで一連の事業評価手法について、「評価の手引き」(国土交通省都市・地域整備局)をJICEが取りまとめるとともに、JICE職員が国土交通省の説明会に講師として参加し、事業評価制度の普及に寄与しています。

先駆的に施策を展開

  プロジェクト展開の基本論や実施手法等の検討をJICEが行い、それに従って各主体がプロジェクトを実行したり、各主体が行った成果をJICEに集約し、一般に普及させるための課題検討や情報蓄積等を行って、施策として実現に結びつけています。(施策のインキュベータ的機能を果たしています)
このような、JICEが施策の展開を先導している事例として次のものがあります。

事例1. 自律移動支援プロジェクト
  • JICEは、平成16年度より継続的にシステムに関するセキュリティポリシーや情報の提供エリア・頻度等のサービス定義、技術仕様に関する検討を行ってきました。
  • 青森市や神戸市をはじめとする全国各地における自律移動支援プロジェクト実証実験の実施において、国土交通省とともに主導的な役割を果たすとともに、自律移動支援に対する基礎的なデータの蓄積を行っています。
事例2. 社会実験の推進
  • 国土交通省道路局では平成11年度以来、道に関する各種社会実験を推進していますが、JICEでは当初より社会実験に一貫して関与しており、平成15年3月には、それぞれの研究成果を取りまとめた「社会実験事例集〜道路施策の新しい進め方〜」(財)国土技術研究センター)を発行しました。また、平成17年3月には「道を活用した地域活動の円滑化のためのガイドライン」(国土交通省道路局)を取りまとめ、社会実験の推進に寄与しています。

公正・中立な立場から意見を集約

  高度化・複雑化する行政の課題や多岐の政策分野にわたる課題に対して、円滑な国土交通行政を展開するためには、長期的・広域的視点に基づく公正・中立な立場からの検討が必要です。  多様な関係者の問題意識や利害等がある場合に、JICEが公益法人として、公正・中立な立場で意見調整や知見の集約等を行っています。
このような、JICEが施策の展開を先導している事例として次のものがあります。

事例1. 破堤部緊急復旧対策マニュアル
  • 堤防決壊後の対策如何では洪水被害を減少させることが可能であり、そのためには、これまでの河川技術の域を超えた技術も集約する必要があるとの考えに基づき、総合的な対策技術を検討しています。具体的には、公益法人としての中立的な立場を活用して、学識者、民間の建設会社・機械会社、自衛隊等の広範な範囲からの技術情報の提供を受けつつ、検討を進めています。
事例2. 中心市街地活性化のためのアドバイザリー会議
  • 地方都市の中心市街地活性化が依然としてうまく進んでいないという国の問題意識や民間の動向等を受けて、学識者、地方公共団体、関係機関の参加する「アドバイザリー会議」が設立され、JICEはアドバイザリー会議の事務局の一員として現状分析や知見の集約等を行い、中心市街地活性化のための政策提言の作成に参画しました。
  • 「アドバイザリー会議」による提言は、その後の社会資本整備審議会を経て、都市計画法及び中心市街地活性化法の改正に結びつきました。
事例3. 「新しい道路・沿道空間の形成に関する柔軟な制度の検討」に関する提言
  • 学識経験者からなる道路ルネサンス研究会(屋井鉄雄 東京工業大学大学院教授)において、各委員からの多様な意見を集約し、より具体的に「新しい道路・沿道の形成に関する柔軟な制度について検討を行うことが必要」との提言を取りまとめました。
  • 国土交通省道路局では、道路・沿道の整備・管理への様々な主体の参画や構造基準、占用許可基準の改訂に向け検討を進めています。
事例4. 道路行政マネジメント
  • 成果志向の道路行政マネジメントの推進にJICEは継続的に調査を実施していますが、学識経験者を含む多くの関係者から幅広い情報収集を踏まえ、各地域の国道事務所とともに道路施策の立案段階から協働して実施しています。
事例5. 大和町交差点等局所大気汚染対策
  • 板橋区大和町交差点における局所大気汚染の改善に向けた取り組み(土壌を利用した大気浄化、オープンスペース化による大気環境改善等)は、全国の先進モデルケース的な役割を担い、その取り組みに対する評価結果は大気汚染対策の推進にあたっての基礎資料となっています。JICEは中立的な立場から、学識経験者等からなる評価委員会の事務局を務め、技術的検討を重ねています。

一般土木工法にかかる審査等を客観的に実施

事例1. 建設技術審査証明事業
  • 民間の開発者より依頼された新技術の技術内容について、学識経験者等により構成される委員会等で審査を行い、その結果を客観的に証明するとともに、その技術の普及活動に努める事業です。
  • 平成13年1月に建設大臣が認定する審査証明事業は廃止されましたが、民間からの本事業に対するニーズを踏まえて、14の公益法人が加盟している「建設技術審査証明協議会」(事務局:JICE)が継続して実施しており、このうちJICEは、「道路、河川、海岸等の土木施設の構築、撤去、管理に係わる施工技術」を対象とする一般土木工法にかかる審査証明事業を実施しています。
事例2. 排水機場総合診断
  • 老朽化してきた排水機場について、土木構造物及び機械設備を含む総合的な観点から、更新の必要性について診断を行うものです。学識者等から構成される委員会の事務局をJICEが担当しています。

諸外国との継続した人的ネットワークを形成

2〜3年間で移動する行政官が育んだ人的なネットワークを維持し、人脈を補強するために、諸外国の行政官や研究者との継続的な情報及び人的な交流を継続し、人的ネットワークの維持、高度な人脈の保持を行っています。
事例1. 二国間会議開催の支援
  • 国土交通省河川局が実施しているアメリカ(日米治水及び水資源管理会議)、中国(日中河川及びダム会議)、韓国(日韓河川及び水資源開発技術協力会議)との政府間の技術協力会議の運営に関する補助を行うことにより、継続的な情報及び人的な交流を支援しています。
事例2. 世界気象機関(WMO)との情報交換
  • 世界気象機構では、流域内における土地及び水資源開発を統合するとともに、氾濫原から最終的に得られる便益を最大化しつつ、洪水による生活被害を最小化することを目的とする統合洪水管理の基本的な考え方や実践事例について先進的な研究を実施しています。
  • JICEでは、我が国で主に都市河川流域で実施している“総合的な治水対策”について、その基本的な考え方や施策の総合的な評価に関する情報を世界気象機関に提供するなどして、統合洪水管理の展開を支援しています。
  • 上述したような活動を継続的・発展的に実施するために、世界気象機関とJICEは2007年に覚書を交わしています。
事例3. 韓国建設技術研究院(KICT)との技術交流
  • 韓国建設技術研究院(KICT)は、我が国でいうところの独立行政法人であり、土木技術全般にわたる技術的な研究を実施している機関です。JICEと韓国建設技術研究院は、1989年に日韓建設技術の交流を図ることを目的とした合意書を交わし、毎年、建設技術セミナーを相互に開催したり、共同研究を実施したりしながら両国間の建設技術にかかる継続的な情報及び人的な交流を実施しています。

自主研究による政策提案等を実施

今日の社会経済や国土交通行政の動向等を踏まえた政策提言、情報発信、技術資料の継続的な蓄積、技術開発等を目的に、自主財源による自主研究を実施しています。
事例1. 基準類の管理システムに関する研究
  • 河川にかかる技術基準やマニュアル類は多数発刊されていますが、技術の進展や社会情勢の変化を踏まえて適切に見直しが実施されている事例は少ないことから、新たな知見や情報が直ぐに反映でき、各種基準間の整合性を担保した一元的な技術基準管理体制の構築に向けた提案を行います。(基準類のweb化と必要な機能等の条件検討等)
事例2. 河川のアセットマネジメントに関する研究
  • 本研究は、ダム・堤防・堰・水門・排水機場等の施設特性を踏まえて、当該施設の重要度や背後地特性(氾濫原の被災ポテンシャル)等の区間的な評価視点にたったマネジメント概念を検討するとともに、予防保全が可能と思われる施設を対象にLCC(ライフサイクルコスト)最小化を図るマネジメント手法を検討します。
事例3. ユビキタス技術の活用展開方策に関する基礎調査研究
  • 国土交通省では、平成20年度にユビキタス技術を活用した自律移動支援システムを一部実用化し、22年度に本格運用を目指していますが、本来、ユビキタス技術は、歩行者の移動支援だけでなく、国土管理・公物管理・物流支援など様々なアプリケーションが考えられています。
  • そこで、本研究は自律移動支援システムの枠を越えて、ユビキタス技術の普及・実用化に向け、その整備のあり方、効果、事業モデル、標準化手法等についての課題や前提条件等について、国土交通省に先行して多角的に検討を行います。
事例4. 国土教育に関する研究
  • 地域の安全・安心な暮らしや生活の質の向上、地域経済の発展等に対して社会資本が果たしてきた役割に着目し、過去から延々と築いてきた代表的な歴史的土木施設等(河川改修や道路整備(峠の開削等)、疎水の開削等)を対象にしています。
  • 単なる土木史ではなく、その土木施設等が必要とされた当時の社会背景、整備を推進した指導者や工事に従事した技術者の志、整備が地域の発展に及ぼした効用等についてとりまとめ、主として中・高校生向けに、社会資本と地域の関わりについて理解を深める教育素材を提供することを目的としています。
事例5. 社会資本の国際比較に関する集成資料の作成
  • 個々の調査報告書として保有しているJICEの社会資本の国際比較に関する研究成果について、本研究により資料集として一元化し、JICEの事業活動において活用を図るほか、社会資本について国民に理解を深めていただくための情報発信の素材とすることを目的とします。
  • 特に、韓国の社会資本に関する情報については、JICEとKICTとの技術交流の経緯もふまえて特に重点的に実施します。
事例6. 災害発生時における現地緊急調査の実施
  • 「災害緊急調査室」を設置し、大規模自然災害発生時に被災状況とそれを踏まえた対応・対策の方向性について速報及び政策提言を行うことを旨とし、迅速な現地調査により正確な情報収集を行うとともに、被災を教訓とした技術開発や基準類の見直し等に資するために、災害対策にかかる課題の把握や政策提言等の取り組みを強化します。
  • 平成19年7月16日に発生した新潟県中越沖地震では、河川堤防や道路、建築物の被災、倒壊建物による道路の閉塞、避難所の状況等について緊急現地調査を行い、JICEホームページに公開しています。