JICE 一般財団法人国土技術研究センター

特色

はじめに

 JICEは、高度で総合的な技術力を発揮し、公平・中立的な立場から調査研究を行うとともに、その実施にあたっては、これまで蓄積された調査研究成果や豊富な人材ネットワークを活かして学識経験者等からなる委員会等を適宜設置するなどし、高品質な成果を提供しています。

 また、情報発信等を行ってその活用・普及を図るほか、民間の優れた建設技術の表彰や研究開発の助成を行うなど、科学技術の振興にも努めています。
 こうして得られた調査研究の成果は、国や地方公共団体等が行う住宅・社会資本の整備に役立っています。

政策提言機能の発揮

国土政策研究所による政策提言

 JICEの調査研究の成果等を踏まえながら、社会資本整備に関する総合的な調査研究の一層の推進とその体系化を図り、さらには今後の世界的な社会動向を踏まえた国土や社会資本整備のあり方について、その方向性を示唆する政策提言を積極的に行うことを目的として、平成21年6月に設立しました。

 社会経済状況の変化等を踏まえて将来の国の姿を見通し、行政が対応すべきものかどうかを問わず、国民生活にとって必要な財やサービスとは何か、国土づくりの哲学を議論するとともに、その実現を目指して、具体的にどのような施策を展開すべきか提言します。

自主研究による政策提言

 自主研究は、JICE内部から発意し実施するものであり、住宅・社会資本整備に係る政策的、技術的な課題について、施策のフォローアップ、先行研究の実施等、主に3〜5年程度先を視野に入れた政策提言や情報発信、技術資料の継続的な蓄積、計算プログラム等の技術開発を行っています。

基準類の管理システムに関する研究

 河川にかかる技術基準やマニュアル類は多数発刊されていますが、技術の進展や社会情勢の変化を踏まえて適切に見直しが実施されている事例は少ないことから、新たな知見や情報が直ぐに反映でき、各種基準間の整合性を担保した一元的な技術基準管理体制の構築に向けた提案を行っています。

ユビキタス技術の活用展開方策に関する基礎調査研究

 国土交通省では、ユビキタス技術を活用した自律移動支援システムについて、平成22年度に本格運用を目指していますが、本来、ユビキタス技術は、歩行者の移動支援だけでなく、国土管理・公物管理・物流支援など様々なアプリケーションが考えられています。 そこで、本研究は自律移動支援システムの枠を越えて、ユビキタス技術の普及・実用化に向け、その整備のあり方、効果、事業モデル、標準化手法等についての課題や前提条件等について、国土交通省に先行して多角的に検討を行っています。

災害発生時における現地緊急調査

 大規模自然災害発生時に被災状況とそれを踏まえた対応・対策の方向性について速報及び政策提言を行うことを旨とし、迅速な現地調査により正確な情報収集を行うとともに、被災を教訓とした技術開発や基準類の見直し等に資するために、災害対策にかかる課題の把握や政策提言等の取り組みを行っています。

公平・中立な立場からの調査研究と科学技術の振興

 JICEは、公平・中立的な立場から、住宅・社会資本整備の推進に必要な各種技術基準類の作成等に関する調査研究や、技術開発者の研究開発意欲の啓発、建設技術水準の向上を目的とした「国土技術開発賞」の授与や研究開発助成、建設技術の審査証明(一般土木工法)を実施し、科学技術の振興・普及に努めています。

 こうした公平・中立的立場からの調査研究や科学技術の振興の取り組みの成果は、国や地方公共団体等が行う住宅・社会資本整備やまちづくり・地域づくりで広く活用されています。

公正・中立な立場から意見を集約

 高度化・複雑化する行政の課題や多岐の政策分野にわたる課題に対して、円滑な国土交通行政を展開するためには、長期的・広域的視点に基づく公正・中立な立場からの検討が必要です。多様な関係者の問題意識や利害等がある場合に、JICEが公益法人として意見調整や知見の集約等を行っています。

施策立案や法令・技術基準等に直結する調査研究

 過去のデータ蓄積や技術力、知見を基盤として、国土交通行政の重要な技術的事項に関する調査研究を継続的に行い、成果を取りまとめています。それらの調査研究成果は施策立案の基礎資料となったり、JICEの成果を基にして法令や技術基準の原案等が作成されています。

手引きや刊行物等として技術の標準化と普及促進

 調査・研究成果の普及や施策の活用等を目的に、JICEにおいて手引きや刊行物等を発行しています。

国土技術開発賞

 建設分野における新技術の開発に寄与することを目的に、近年に開発し、かつ、実用に供された新技術を対象として選定、表彰するものです。国土交通省の後援のもと、財団法人沿岸技術研究センターとの共催で実施しています。

 平成21年度より独自の建設技術の活用・応用を通じて地域に貢献している者の技術を表彰することを目的に、新たに「地域貢献技術賞」を設けました。

研究開発助成

 各分野の先進的技術の研究開発を促し、住宅・社会資本整備を通じてよりよい国土の利用・整備又は保全に寄与することを目的に、優れた研究開発に対して助成を行うものです。

 毎年10件程度の研究開発を助成しています。また、その成果の報告会を開催するとともに、研究概要をJICEホームページに掲載し、広く情報を発信しています。

優良技術育成事業

 地方の中小建設企業を取り巻く環境は、公共投資が減少するなか厳しい状況ですが、地域の社会資本整備や国土管理に貢献するべく、独自の建設技術開発に取り組む企業があります。これらの建設技術のなかで、今後普及を図るべき優れた技術を発掘し、育てる事業を展開します。(平成21年度より実施)

建設技術審査証明(一般土木工法)

 「建設技術審査証明事業」は、研究開発の促進や新技術の建設事業への適正・迅速な導入を図るため、民間企業で自主的に開発された建設技術を客観的に審査証明する事業です。JICEは、建設技術審査証明協議会の会員として実施しており、道路、河川、海岸等に係わる施工技術(一般土木工法)を審査証明しています。

国土の利用や整備・保全、災害の防止等を目的とした先駆的な調査研究

河川事業、道路事業、都市住宅事業、技術・調達事業、防災事業の研究を行っています。詳細は事業案内をご覧ください。

総合的・先駆的な調査研究を支える人材と豊富な情報・ノウハウ

  JICEの多分野にわたる総合的な国土の利用や整備・保全等を目的とする調査研究は、JICEの数多くの優秀な人材と数多くの調査研究を通じて蓄積された知見等によって支えられています。また、調査研究成果は、品質マネジメントシステムを用いて品質の維持・向上等に努めています。

優秀な人材とそれを支える実施体制

 JICEが行う調査研究には、国や地方公共団体等からの、公平・中立な立場で高度な技術が要求されるものや多分野にわたる総合的技術が要求されるものが数多くあります。

 これらの調査研究は、河川、道路、都市・住宅・地域・土木技術にわたり、それぞれ専門とする政策グループにおいてプロジェクトチームの下、優秀な技術者が担当し実施しています。

 多分野にわたる総合的技術力が必要な調査研究は、関連する政策グループにおいて横断型のプロジェクトチームを編成し連携して進めるほか、必要に応じて、JICEの豊富な人的ネットワークを活用し、学識経験者等からなる委員会等を設置して進めています。

豊富なデータや情報・ノウハウ/調査研究成果の品質の維持・向上

 データや情報・ノウハウは調査研究を進める上で極めて重要なもののひとつです。JICEは調査研究に必要なデータや情報、ノウハウを数多く蓄積し、高度な調査研究に活用しています。

 また、平成10年から運用したISO9001品質マネジメントシステムを随時、見直し・改善するとともに、本システムを的確に運用して調査研究成果の品質の維持・向上に努めています。

研究報「JICE REPORT」の刊行、ホームページによる情報発信

 国土交通行政の今日的な課題や技術的な課題に関するJICEの研究報告や事業報告等を掲載した研究報「JICE REPORT」を年2回発行しています。その内容はJICEホームページでも見ることができます。

 また、JICEの主な調査研究成果等の各種情報や「国土技術開発賞」、「研究開発助成」等の成果は、JICEのホームページに掲載するほか、書籍等を刊行し、広く世の中に情報発信しています。

海外調査・国際協力

 海外の建設事業及び建設技術に係る法制度、事業実施の仕組み、先端技術の動向等を把握し、調査研究に反映させるために海外調査を実施しています。

 国際協力・国際交流として、韓国建設技術研究院(KICT)との間で建設技術セミナーを毎年1回開催しています。また、統合洪水管理を推進する世界気象機関(WMO)との覚書に基づく相互協力を進めています。 得られた成果は、ホームページ等を利用して情報発信し、今後の我が国の住宅・社会資本整備のあり方の検討等に資する資料提供を行います。

講習会等の開催

 JICEの先進的で幅の広い調査研究成果の紹介等を目的として、毎年1回「技術研究発表会」を開催しています。また、自主研究や受託調査研究で得た成果のうち、広く世間に普及・啓発する価値のあるものについては、講習会の開催等を行っています。